ソフトバンクの3軍選手が4日、ヤフオクドームでの1軍楽天戦を見学に訪れた。藤本博史3軍監督(55)の発案で、福岡、筑後市のファーム施設で午前中に練習を終え、バスで乗り込んできた。

試合前練習をベンチや報道陣の横に並んで見学。ドラフト3位の野村大樹内野手(18)は「テラスがあるので意外とヤフオクドームって狭いですね。内川さんや福田さんの打撃がすごい」と間近でフリー打撃を見て目を輝かせていた。内川やグラシアルの打撃をスマートフォンで動画撮影する選手もいた。

試合は5回まで一塁側スタンドで観戦。高卒2年目、吉住晴斗投手(19)は「初めてプロ野球をスタンドから見ました。歓声がすごい」と、1球、1打に3万人以上がリアクションすることが新鮮だったようだ。

14年6月以来となった3軍の見学会。筑後に移転後は初めての試みだった。藤本3軍監督は「3軍は試合が少なく練習日が多い。練習を見て、試合を見て何か感じるものがあったかを、感想文を書かせて提出させます」と話した。

福岡市内の西戸崎、雁の巣から筑後にファーム施設を移した16年以降、ヤフオクドームで1軍と親子ゲームをすることはほぼなくなった。「南海時代はスタッフの数も少なく、球拾いなどの手伝いをさせられた。でも、そこで1軍の選手の打撃などを見ることができた」と、見て学ぶことの大事さが必要だと話す。

筑後の施設は整っている。だが、恵まれすぎた環境もあり「3軍の選手はのんびりしている。ハングリー精神がない」と藤本3軍監督は嘆く。高卒の育成でわずか2、3年で退団する選手も出てきている。育成のソフトバンクとの声も多いが、2軍と3軍の力の格差がここ数年で広がっているのも感じる。

練習見学をする3軍選手17人は首から「ゲスト」と書かれたパスをぶら下げていた。自分のチームの本拠地でも、お客様扱い。残酷なようだが、このパスこそがハングリー精神に火をつけるきっかけとなってほしい。1軍経験のある支配下、または育成で元支配下の選手たちは、これまで顔パスで入ってきていただけに「悔しいです」とハッキリ口にした。

試合は5回までの観戦だったが、先発千賀が159キロを出し、甲斐が受け、二遊間には周東、牧原と育成出身が4人守った。千賀は以前、「今の育成の子たちは、僕が1年目の時よりもすごいし才能がある」と話していた。千賀たちのプレーはどう心に響いたのだろうか。シーズン半分が終わったこの時期の見学会。3軍選手にとっても、大きな刺激になっただろう。今後も続けてほしい。【ソフトバンク担当 石橋隆雄】