植田海(左)を指導する井上一樹コーチ(撮影・清水貴仁)
植田海(左)を指導する井上一樹コーチ(撮影・清水貴仁)

阪神の秋季安芸キャンプが31日からスタートした。選手とともに、コーチ陣の指導にも熱が入る。

新任の井上一樹1軍打撃コーチ(48)は、選手に負けない熱さと元気、そしてユーモアで練習を盛り上げている。

初日から行われた3人1組のティー打撃では、ホイッスルを2度鳴らす独特な方法を取り入れる。1度目のホイッスルで足を上げ、その状態でトップを作って姿勢をキープ。2度目のホイッスルでトスが上がり、バットを出す。フォームにためを作って我慢を意識し、インサイドアウトのスイングを染み付ける。足もとがふらつき、なかなかうまくいかない選手も見られた。最中には同組3人の動きを合わせるように求め「(3人の動きが)シンクロしたら終わり。エヴァンゲリオンや」と、有名アニメの内容さえも飛び出す。2日目の早朝は宿舎から球場に向かう途中で車を降り、海岸線を横目に球場までランニング。「ここ(行き道)しか動けないからね。キャンプ中、足が持つまでは」と、何とも若々しくさわやかな笑顔だった。

同じく新任の北川博敏打撃コーチ(47)も選手に寄り添い、優しく声をかける。来春のキャンプからシーズン入りまで先を見据え、「今は選手の特徴を見ているところ。長所を伸ばして欲しいからね」と、じっくり選手の動きを注視する。空いている選手がいれば「(ボールを)投げようか?」と声をかけ、常に笑顔は絶やさない。

野手陣では守備を課題に挙げる選手が多く、朝・昼・夕と各所でノックが行われる。大量のノックを放つ久慈コーチの右手は、初日から皮がめくれ上がっていた。投手から内野手、外野手まで-選手、コーチが一体となって、泥にまみれている。【阪神担当 奥田隼人】

打撃指導を行う井上コーチ(左)と北川コーチ(2019年10月31日撮影)
打撃指導を行う井上コーチ(左)と北川コーチ(2019年10月31日撮影)