サングラス越しに目を光らせている。「グラウンドの隅っこでこっそり見ていますよ」。ソフトバンクの城島健司球団会長付特別アドバイザー（43）はキャンプイン直前にそう言っていた。選手に直接指導することは控えているようだが、捕手出身とあって、やはり洞察力は鋭い。第1クール最終日となったこの日、城島アドバイザーはランチ特打を行っていた今宮の打撃を見つめながらポツリと言った。

「今宮に（バットを構えた）手でタイミングを取らずに、下半身でタイミングを取ったらと言った。ちゃんとやっていますね。手を動かさなくなった。ものすごくよくなったよ」。打撃向上を目指す今宮から初日に助言を求められたのだろう。さりげなくアドバイスした。快音を響かせる今宮の打球を見やりながら城島アドバイザーは何度もうなずき、付け加えた。「今宮は3割打てますよ。ミスショットをなくせばいいんだから」。校名は変わったものの（城島アドバイザーは別府大付、今宮は明豊）高校のかわいい後輩であり、一昨年まで同じ背番号「2」を背負った縁もある。

キャンプ初日はデニム姿を王球団会長に怒られジャージーに着替えてグラウンド入り。「43歳でも怒られるんですよ」と頭をかいた。明るいキャラクターは健在で、「甲斐、工藤監督にいじめられているだろう？」と円陣で笑いを誘ったり、新助っ人バレンティンに「全力疾走」、柳田には現役時代の王会長の話を引用して打席での心構えを説いたりした。「影武者」のように寄り添いながらチームに少しずつ「化学反応」を起こしているようだ。

「タイミングのことは城島さんに言われてから取り組んでいます。でも、まだまだですね。頑張ります」。今宮は、しっかりと「成果」を出すつもりでいる。【ソフトバンク担当　佐竹英治】