華やかに見せ、グラウンドでは泥臭い。爽やかイケメンのユニホームは、いつも汚れている。オリックス小田裕也外野手(30)が、開幕スタメン入りへ猛アピールを重ねている。

3日ロッテ戦で2回に石川から右中間スタンドに本塁打を放てば、足でも魅了した。4回1死からの二塁打では相手のまずい守備の間に三塁を陥れた。その後、若月の投ゴロの間に本塁突入。好スタートで1点をもぎ取った。「足で取れる1点は大きいと思う。あの場面はギャンブルスタートを切った。バッターが打ちにいく前提でスタートしたので。見せ場ですね。常に1つ先の塁を狙う。そこも持ち味ですね」。

4日ロッテ戦でも三塁打と存在感を際立たせる。7日巨人戦には「9番中堅」でフル出場。「外野をどこでも守れるのも強みだと思う。試合のスタートから出るなら、現状センターしかない。いつでも準備はできています」。今季は左翼に吉田正、右翼に新助っ人のアダム・ジョーンズ外野手(34=ダイヤモンドバックス)を起用する方針で、試合出場のチャンスは自分で奪うしかない。

自慢の脚力を生かし、広い外野グラウンドを縦横無尽に走り回った。小田の魅力は、打つ、守るだけじゃない。前述の巨人戦では、4回1死から四球で出塁後、2死になって相手投手が交代。その直後、初球から果敢にスタートを切って盗塁成功。巨人育成沼田はマウンドで初めて見る投手だったが、投球練習の間にスキを見つけていた。

「自分は自分のできることをやっていくだけ。(定位置争いに)割って入れるようにしたい。個人的には、もちろん全試合に出たい。スタートから試合に出たい気持ちも、もちろんある。ただ、チームが勝つためには、与えられたポジションで頑張るだけ。チームが勝つにはどうするかを考えて動きたい」

愛用するグラブの内側には球団ロゴマークを刻んでいる。「開幕に向けて、もっと仕上げていきたい。納得できる1年にしたい」。30歳。訪れる歓喜の瞬間に、グラウンドでプレーしていたい。

野球に熱い男だが、球場を離れると、優しげな表情に戻る。オフに結婚。もう1人じゃない。「家に帰るとリラックスできますね。いつもピリピリしてるのも、どうかなと思うようになった。手料理も頑張ってくれているので、できるだけ家でご飯を食べようかなと」。自宅でのリラックスが、好調にもつながっている。「ハンバーグが好きですね。手料理は全部、おいしいです」。その背中は、いつも愛妻が押してくれる。

準備はできている。開幕を迎える3月20日には「始まりが良ければ、うまくいく。チームも個人的にも」と闘志を燃やす。そして、サラッと話す。「チームが勝つということが前提に、自分がそこで活躍したい。打って、走って、守って。準備をしていくだけです」。輝くために、必死で汗をかく。【オリックス担当=真柴健】

7日、二盗を決める小田(撮影・河野匠)
7日、二盗を決める小田(撮影・河野匠)