日本ハムが今キャンプで行っている珍しい練習がある。その名は特守ならぬ「特走」。指導するのは昨年までDeNAでコーチを務め、今季から新たに就任した上田佳範外野守備走塁コーチ(47)。「特走ってなんか、向こうまで走ってこい!みたいなイメージはあるけど」と笑うが、「相手の隙を突くということ、そういう意識が浸透すればいい。打つ、守るも大事だけど、その中で走塁にも時間をかけて、1個1個覚えてもらうことは必要」と説明する。

チームにとっての課題ともいえる走塁。過去3度の盗塁王に輝き、俊足で知られる西川遥輝外野手(28)を筆頭に、走れる選手が少なくない中で、昨季のチーム盗塁数80個はリーグで2番目に少ない数字だった。同コーチは「とにかく仕掛けないことには。特に今の時期は仕掛けて(開幕前の)今失敗してほしい。今怖がってやっていたらシーズンに入ったら余計、先の塁が狙えなくなってしまう」という。

重点的に行われるのは盗塁練習で、リードの動きなど映像を撮りながら細かな動きもチェックする。実際に「特走」を体験した浅間大基外野手(24)は「帰塁にしっかりと自信を持てれば、スタートは切りやすくなると。そこからスタートのスピードにうまく乗っていけるような形というのを繰り返しやっている。(以前と比べ)構えの段階で余裕が生まれてきていると思う」と口にする。

高校まで野球経験のある私にとっても耳にしたことがなかった「特走」。松本剛外野手(27)は「走塁は意識さえ高く持てば、いいものが見えてくると思う。僕は引き出しを増やしたいというのもあったし、新しいコーチが来て、どういうことを教えてくれるのか興味もあった。僕は走りたいので、少しでもプラスに、自分に生かしていけたらいい」。例年以上に感じる選手の走塁への高い意識。今年の日本ハムの走力に注目だ。【日本ハム担当=山崎純一】

日本ハム松本剛(2021年2月20日撮影)
日本ハム松本剛(2021年2月20日撮影)