「目立ってなんぼ!」。その言葉を胸に、広島ドラフト6位の矢野雅哉内野手(22=亜大)は、メキメキと存在感を際立たせている。

1軍完走を遂げた春季キャンプでは、練習前の声出しなどで一発芸を連発して盛り上げ、キャンプ打ち上げ後には人生初のパンチパーマをかけてグラウンドに登場し、チームメートの爆笑をかっさらった。「似合うかなあと思ってやりました。案外似合っていて違和感ないなと」。

誰に指示されたわけでもなく、自ら奇抜な髪形をチョイスしたというのには驚いた。亜大の2学年先輩で、オリックスの頓宮裕真捕手(24)は同大学の生田勉監督(54)から指令を受け、プロ入り後にパンチパーマをあて、話題を呼んだ。しかし矢野は「自分で考えました。ちょっとでもチームの雰囲気が良くなればとか、自分に注目してもらえる方がいいと思ったので」と理由を明かした。

先輩の一言が矢野の背中を押した。「会沢さんから言われた『目立ってなんぼ!』という言葉が印象に残っています」。キャンプ序盤でチームになじめず、おとなしかった矢野は会沢に呼び止められた。ベースランニング中に帽子のつばをピンッと真っすぐ上に立てられると、周囲に笑いが起きた。「そこから徐々に先輩方と会話が増えていったという感じだったので、会沢さんにはよくしてもらったなという感じです」と感謝した。

もちろんプレーでも目立ってきている。キャンプの実戦は12試合で23打数7安打、打率3割4厘と結果を残した。守備でも遠投130メートルの強肩を武器に、本拠地デビュー戦となった6日ヤクルトとのオープン戦では好守を連発。9、10日の阪神とのオープン戦(甲子園)では2試合連続ヒットを放った。

「今結果を残さないと開幕1軍にいられない。必死に食らいついてやっていきたい」。公私で売り込みを続ける背番号61から目が離せない。【広島担当=古財稜明】

パンチパーマの広島矢野雅哉(右)をヤクルトのスタッフらに紹介する河田雄祐ヘッドコーチ(2021年3月7日撮影)
パンチパーマの広島矢野雅哉(右)をヤクルトのスタッフらに紹介する河田雄祐ヘッドコーチ(2021年3月7日撮影)