オープン戦6本塁打と大暴れした阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22=近大)の京セラドーム大阪での初アーチは、公式戦へと持ち越しとなった。オープン戦最後に3連戦が行われ、58年の巨人長嶋の7本に追いつく1発が期待されたが、2試合無安打。21日は体の張りもありベンチを外れた。

この球場は、佐藤輝が少年時代に再び野球ができる喜びを感じた場所だった。中学2年だった12年秋、2学年下の次男太紀(現関学大2年・内野手)が、小学6年でオリックス・ジュニアに選出された。京セラドーム大阪での練習を父博信さん(53)と見学に来ていた佐藤輝も一緒に練習していいことになり、うれしそうにキャッチボールなどをして汗を流した。博信さんは「小6で右肘を痛めて、ようやく投げ始められたころでした。本当にうれしそうな表情でしたね」と、当時を振り返った。

佐藤輝自身は小6時に阪神ジュニアに選出されたが右肘を痛めており、試合出場できなかった。ペイペイドームで行われた大会では三塁コーチを務めた。右肘の状態もあり、中学では強豪硬式チームに進まず、甲陵中の軟式野球部へ。1年以上ノースローを貫いた。京セラドーム大阪での練習参加は、ずっと我慢を続けてきた佐藤輝少年にとって、プロの舞台でボールを思い切って投げられた夢のような時間だった。

近大時代の19年12月、プロでの自身のイメージを問われ「京セラの3階席に打球をぶつけるイメージですかね」と、答えたことがあった。それは、何度も観戦に訪れただけでなく、グラウンドレベルから3階席への距離を把握した中でのコメントだった。本塁打こそが佐藤輝の最大の持ち味だと本人も自覚している。誰にもマネできない3階弾を公式戦で見てみたい。【阪神担当=石橋隆雄】