巨人戸田懐生投手(20)のダイナミックな投球フォームの秘密に迫る。昨年の育成ドラフト7位での入団ながらイースタン・リーグで先発6試合で3勝0敗と好成績を残し、7日に支配下選手契約を勝ち取った右腕。170センチと小柄ながら2段モーション&軸足をヒールアップするダイナミックなフォームでプロの強打者に立ち向かっている。

記者が初めて戸田の投球をこの目で見たのは3月30日のNTT東日本との3軍戦(ジャイアンツ球場)だった。2番手で登板し、2回を完全投球。内容は当然のことながら、何より投球フォームの格好良さに魅了された。

現在のフォームに行き着いたのは四国IL・徳島時代の2年前。「2段モーションの方が体重の乗せ方とかあってたのかなと。自分で考えながらやったのがああいうフォームでした」と自らの頭で試行錯誤した。ヒールアップに関しても「足上げた時に自然に上がってる感じ」と理想を追い求めた先にたどり着いた形だった。小さな体を最大限活用して球に力を伝える。一見バランスを取るのが難しくも思えるが、持ち前のバランス感覚、運動神経の良さが下地になった。

中学時代は、今よりもオーソドックスなフォームだった。ただ当時からしっかりタメを作ることは意識していた。その理由は、技術的、メカニック的な部分以外に、精神的な理由もあったという。当時の愛知衣浦シニアの島田圭一監督(53)は「どうしても性格上(エンジンが)かかっちゃう子なので。いったん落ち着かしてから放るということは、中学からやってた。性格上、どうしても前に突っ込んじゃってね(笑い)」と説明する。戸田自身も繰り返し口にする打者に強気に向かっていく姿勢は、紛れもない大きな武器だが、時にはマイナスに作用することもある。2段モーションでタメをつくることが、あふれんばかりの闘争心を制御して、精神的にゆとりを持った投球につなげている。

1軍ではリリーフとして3試合に登板。球場で、テレビを通して、多くの野球ファンにその投球フォームを見せつけている。フレッシュオールスターゲーム2021(7月15日、坊っちゃんスタジアム)にも選出された。「投球フォームが人と違うので、そこを見てもらって、真っすぐで勝負していきたいなと思います」。戸田の特徴的なフォームには要注目だ。【巨人担当=小早川宗一郎】