常に明るく振る舞うことは簡単ではない。人間、生きていれば落ち込むこともある。巨人チアゴ・ビエイラ投手(28)は、とにかく明るい。笑顔が絶えない。もちろん、見えないところで人知れず思い悩んでいることもあるかもしれないが、はたから見ている限りだと、ひた向きに明るい姿が印象的だ。

最初に感じさせられたのは、2軍に降格した5月のジャイアンツ球場。4月24日広島戦から4試合で計3回0/3を7失点と打たれまくった。5月4日に登録を抹消。さぞかし落ち込んでいるだろう…と思っていたが、そんなことはなかった。明るい表情でチームメートに「ヘーイ!」と声をかけていた。当時2軍で調整中のメルセデスや小林とは再会をハグで大喜びしていた。

明るさだけでなく、努力を惜しまないスタイルも魅力の1つ。ハードなトレーニングに日々取り組む姿は、宮本投手チーフコーチから「世界一、練習する投手。普段の生活、会話、人間性からすべてにおいて素晴らしい野球人」と絶賛されたが、ビエイラにとっては当たり前のこと。「毎日毎日が勝負だと思っている。その日、その日のベストを尽くす」と常に自分に言い聞かせてきた。

今を生きているから、ポジティブになれる。「人生は良いときもあれば、悪いときもある。その瞬間、瞬間を楽しむことが大事だと思っている」。引きずっていても仕方ない。生きていく上でのポリシーは野球にもつながる。降格から14日後、1軍に再昇格を果たすと、無失点ロードを突き進んだ。32試合連続無失点でNPBの外国人史上最多記録を樹立した。「みんな結局は同じ人間。2本の腕があって、2本の足があって、体があって、同じように生まれてきたのに、自分にできないわけがないと思って。もちろん、ただ寝てるだけでは達成できない。しっかり練習して努力する。その結果であると思っている」。ひた向きな明るさと、圧倒的な努力。ビエイラの姿から見習うところはたくさんある。【巨人担当=小早川宗一郎】