4位からの逆襲を狙うソフトバンクに守護神が帰ってきた。左肘痛で4月末に出場選手登録を抹消されていた森唯斗投手(29)が、今月7日に1軍復帰。20日楽天戦では2点差の9回に1点を奪われながら、リードを守り切り約5カ月ぶりのセーブを挙げた。ホッとした表情で、久々に試合終了の瞬間をマウンドで迎えた。

森がセーブ数や防御率よりも、何より大事にしていたのが登板数だった。「8年連続50試合。いや50だけで終わりたくない。60、70…73試合投げたい」。プロ1年目から続けている、連続50試合以上登板を伸ばすこと。さらには球団記録の72試合を上回ることが目標だった。

登板数と文字だけで見れば、目標としては物足りなく見えるかもしれないが、簡単なことではない。チームからそれだけ起用される信頼を勝ち取ること、それを支える強靱(きょうじん)な肉体がなければ実現できない。

「頑丈さ」が売りの森にとっては、プロ入り初めて故障による長期離脱になった。投球を再開しては、痛みが再発。5月末には手術に踏み切った。「止まったらマグロと一緒のように死んでしまう」という右腕には苦しいリハビリの期間になっただろう。

50試合登板はすでに、途切れることが決まったが、チームの巻き返しへ気持ちは切り替えた。「若い子たちが多いので、ぼくが手本になれるところはしっかりなっていきたい。盛りあげられたらと思います」。ここ3年の日本一、昨年のリーグ優勝を守護神として戦ってきた。経験豊富な鷹のマグロ腕が、苦境のチームで存在感を発揮する。【ソフトバンク担当=山本大地】