つかんだ手応えをそのまま来季へ-。20年のドラフト1位右腕・巨人平内龍太投手(23)が、プロ入り後初めてのオフを迎えている。「悔しさが一番多い」と振り返るルーキーイヤー。1軍登板はリリーフ3試合で0勝1敗、防御率14・00と振るわなかった。ただイースタン・リーグでは38試合に登板し、5勝4敗6セーブ、防御率3・13。さらに10月27日のみやざきフェニックス・リーグ西武戦では8者連続三振など6回2安打1失点9奪三振と圧倒的な投球を披露。潜在能力の高さを見せつけた。

直球で、スライダーで、三振の山を築いた。無双投球の裏には日々の積み重ねがあった。「毎日キャッチボールで意識していたことができました。右膝を内側に入らないようにということと、腕の振りを縦振りにすることを意識しました」。右腕が遅れて出てくると、肘が下がりリリースポイントがばらつく。シュート回転して制球が定まらなくなるという課題があった。それを毎日行うキャッチボールから矯正。シーズン終盤にようやく感覚をつかんだ。

プロの壁を味わった1年だった。プロ初登板を含め3試合に登板した4、5月を「あの時期がちょっと苦しかった」と振り返る。打ち込まれた記憶が脳裏に浮かぶ。他チームのライバルの活躍も目に入ってくる。亜大時代に、同じ東都大学リーグでしのぎを削ったDeNA牧(中大)は主力として活躍。広島栗林は新人王を獲得した。「来年は自分もそれ以上の成績を残していかないといけないという気持ち。自分のやることをやって、自分の結果を出すだけ」。信じた道で巻き返しを目指す。

やるべきことは明確に見えている。今オフは単独自主トレを敢行。「人それぞれ課題が違うと思うので、そういう意味で1人でやろうと思った。先輩と一緒にやって聞くのは大事なことだし勉強になると思うが、それ以上に自分のやるべきこと、これをやろうというのがあった」。身体の機能性を高めるトレーニングで己と向き合う。

覚悟はできている。新加入するルーキーに加え、トミー・ジョン手術から復帰を目指す山崎伊、堀田ら若手投手のライバルがひしめく中で、来季は先発希望を明言。感じた悔しさも、8者連続三振で得た手応えも、全てを糧にして2022年、年男のドラ1右腕が突っ走る。【巨人担当=小早川宗一郎】