献身的に、そっと寄り添う。オリックス能見篤史投手兼任コーチ(42)は、実戦マウンドから1カ月以上も離れている。

オリックス移籍2年目を迎えた兼任コーチは、出場選手登録されていない期間も、常に1軍に同行。コーチ業も行うため、2軍戦などでマウンドに上がることはない。

「試合勘ですか? 僕はブルペンにも入ってますし、打撃投手も3回ぐらいしています。打者感覚について、僕は問題ないです。(昨年)日本シリーズで投げさせてもらったときも、1カ月(登板が)空いてました」

白髪交じりの42歳が、ニコッと笑う。細身のスタイルは健在で、若手投手陣と競争しても全然負けない。

22日に今季初めて出場選手登録され、選手としてブルペン待機した。翌23日には、出場選手登録を抹消された。25年ぶりリーグVに貢献した昨季は、1軍の投手コーチが2人だったため、常にブルペンにいた。自身の投球後でも、ブルペンで右手でメモを取る「能見コーチ」がいた。

今季からは厚沢投手コーチが加入。投手コーチ3人制のため、基本的にベンチ入りはしない。先日、水本ヘッドコーチが新型コロナに感染して離脱した際は、コーチとしてベンチに入ったが「(普段は)選手サロンで映像を見て、先発投手のピッチングで気がついたことをメモ取っています。(助言は)邪魔にならない程度ですよ」と明かす。

若手投手陣を取材すると「能見さんのおかげで…」や「能見さんからアドバイスを頂いて」という言葉が自然と出てくる。兼任コーチは「僕は(選手と)同じ目線です。寄り添うことが多いですね。指導ではないですよ」と抜群のコーチングで潜在能力を開花させている。

プロ469試合登板、104勝…。数々の境地を知る能見兼任コーチの今季1軍マウンドは、まだない。「僕は全然、大丈夫ですよ」。選手&コーチでも、準備は怠らない。鉄の左腕が身を粉にする。【オリックス担当 真柴健】