楽天の2軍が希望に満ちあふれている。3年目の武藤敦貴外野手(20)は、打率3割5分6厘と好調。ドラフト1位ルーキー吉野創士外野手(18)は、体作りを考慮し、少ない打席ながら打率3割3分3厘。ドラフト3位前田銀治外野手(18)もコンスタントに試合に出場。岡島豪郎外野手(32)や、茂木栄五郎内野手(28)、川島慶三内野手(38)ら実績ある選手が調整を続けている中、若手の育成にも注力している。

武藤は開幕直後は1軍で代走や守備固めでの途中出場を続けていた。将来の有望株ではあるが、主力選手たちと比べると、出場機会は減ってしまう。打席数をこなし、経験を積ませるために2軍へ送った。石井GM兼任監督は「下に行かせるときに圧倒的な数字を出してこいと話した。盗塁にしても出塁にしても、すごくやってくれているからこそ、チャンスは与えたい。そういうときが来ると思う。どこかで1軍のレギュラーを張らないといけないので、この1年は無駄にしてほしくない」と期待する。

同じ高卒3年目の黒川へのハードルも高い。2軍戦で結果を残したことを評価して1軍へ呼んだ。7日オリックス戦では先発し、2安打。8日も安打を放ち、成長を続ける日々。それでも指揮官は「結果を出してくれれば使います」と厳しい親心を見せる。将来のチームを背負う存在となるため、我慢して起用する日は必ずくる。ただ、その場を無理やり用意しても、選手のためにはならない。必要なのは、自力ではい上がってくること。選手にハングリーさを求めた。

時には失敗をさせることも重要。高卒ルーキーたちには経験の場を多く与えている。「経験だったり失敗を積み重ねていかないといけない。積み重ねには出場機会は多くないといけない。方針としては多く与えるということでやっています」と明かした。GM兼任として、日々2軍戦のチェックを怠らず、将来を見据えたチーム作りにも励む。

吉野に対しては「ドラフト上位に名前が挙がるだけのスイングはしている」と評価。「現状前田の方が学んでいかないといけないところはある。それも出ないと改善点は見えてこない。改善していけばやれるという能力は持っている選手。失敗させるために試合には多く出させていますね」と続けた。

2軍はファームとも呼ばれる。それぞれが、それぞれの目的を持って汗を流している場所。まさしく農園のように、じっくりと選手を育てている。【楽天担当=湯本勝大】

ユニホームを泥まみれにしながら守備練習する楽天黒川(2022年2月6日撮影)
ユニホームを泥まみれにしながら守備練習する楽天黒川(2022年2月6日撮影)