<ソフトバンク-西武>◇10日◇ひなたサンマリン宮崎

ソフトバンクは6連勝を飾って勇躍、キャンプ地でもある宮崎に乗り込んだ。だが、残念ながら午後から降り出した雨のため、午後5時30分にひなたサンマリン宮崎での西武戦は試合中止が決定した。オリックス、ロッテの6試合で80安打を浴びせて白星街道を突っ走った。打線好調の勢いは、そうそう衰えるものではないだろうが、「やりたかった」が藤本監督ら首脳陣の本音だったろう。快進撃に「水入り」の小休止。5月は開幕からの疲労が蓄積する季節。この雨天中止が好調維持への恵みの雨となってくれればいいのだが。

ホークスの宮崎での公式戦はこれまで1勝3敗。13年ぶりに開催された昨年は楽天に3-6で敗れ、借金生活に突入した。過去1勝は08年5月13日の西武戦。王監督のラストイヤーだった。残り2敗はダイエー時代にさかのぼり、04年5月とホークス福岡移転の初年度だった89年6月だった。

九州に羽を下ろした89年、ソフトバンク初の南九州遠征。宮崎、鹿児島と続いた「お披露目」試合はロッテに3連敗。特に、初戦となった6月24日の宮崎の試合は印象深いものだった。

試合前のこと。列島を訃報が駆け巡った。昭和の歌謡界の女王とも呼ばれた美空ひばりさんが亡くなった。現役時代から親交のあった杉浦監督にコメントを求めた。女優としても活躍していた美空さんから、撮影所に招かれたこともあったという。

「ほんまにさびしいなあ。撮影所にも遊びに行ったことがあったし、(宮崎入りした)昨夜は、カラオケで(美空さんのヒット曲)『港町十三番地』を歌ったばかりやったのに」。杉浦監督はうつむきながら、ボソボソと話してくれた。ショックを引きずっての采配ではなかったろうが、チームは敗れた。確か、あの日も試合前は雨だった。【ソフトバンク担当 佐竹英治】