底力を証明した1発だった。5月29日の西武-DeNA戦(ベルーナドーム)、お立ち台に立ったのは38歳の西武栗山巧外野手だった。
同点の9回、先頭の打席に代打で入り、追い込まれてからの一振り。今季1号となるサヨナラ本塁打を放ち、仲間からウオーターシャワーを浴びた。スポットライトを受けながらヒーローインタビューで言った「お待たせしました」のひと言が、心の内を物語っているようだった。
交流戦前の時点で打率1割7分8厘。苦しんでいるようだった。その心情が随所に行動に表れる。交流戦最初のカード、中日3連戦の取材で敵地バンテリンドームに同行。3戦目の26日の試合前練習だった。打撃練習が始まる前、ケージの中で1人打席に立っていた。バットを構え振ることなく、打撃投手が投げ込む球をただただジッと見つめる。練習終盤には、左翼の位置に入って若手選手が打ち終わる最後まで、守備練習をこなした。
1戦目は代打で出場し二ゴロ。2戦目は出場がなかった。そして迎えた3戦目だった。何かを変えようと、試行錯誤はずっと続けていたはず。ほんの少しだけ垣間見たその日、結果的に5回に代打で中前打を打った。次カードDeNA3連戦で猛打賞をマークし、翌日に生まれたサヨナラ弾だった。
グラウンドでの行動が、直接的に何かをつかむきっかけになったかは分からない。しかし、物事が停滞してしまったとき、何かを変えようともがきあらがうほど、抜け出したときのパワーはきっと大きい。「毎日好不調はある。1日1日必死ですよ」と過ごしてプロ21年目。変わることのないスタイルで、まだまだ壁を乗り越えていく。【遊軍 栗田成芳】







