最近ではあまり見ない光景だった。7月16日の阪神-中日16回戦(甲子園)。前売りチケットが完売し、当日券は販売されない。4万2582人が入場して、大入り満員となった。試合はもつれ、1-1のまま延長戦に突入。延長11回に三ツ俣の犠飛などで中日が勝利をつかんだ。終盤からは声援が飛び交った。

コロナ前には当たり前の光景。阪神側はもちろんだが、左翼スタンドの一角を占めた中日ファンからも声援が届いた。新型コロナ禍での応援ガイドラインからは大きくそれた行動になる。ほぼ合唱状態の風景に違和感を覚えた。

Jリーグでは声出し応援のエリアを作ったり、声出し応援があった場合の罰則を作ったりしている。プロ野球は観客の制限上限もなくなり、試合前や途中の注意喚起のアナウンスやプラカードなどの行動は見受けられるが、この日の甲子園では抑止力にはなっていなかった。

観客動員が球団経営を支えていることも理解できるが、これからさらにペナントレースは盛り上がってくるだろう。昨今の感染者増加を見ていると、心配になるシーンだった。【伊東大介】