侍ジャパンの栗山英樹監督(61)は「野球は物語だ」と、よく言う。3月に開催されるWBCで3大会ぶりの世界一になるには、こんな“ほっこり”するエピソードも必要なはずだ。

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日本ハムで国際業務担当兼広報を務める元投手の榎下陽大氏(34)が、うれしそうに教えてくれた。18日に自身のインスタグラムで、侍ジャパンのメンバーに内定したカージナルスのラース・ヌートバー外野手(25)とDMでやりとりしたことを明かしていた。その内容とは?

「『覚えているかわからないけど、2006年の夏に代表チームに選ばれてアメリカへ行った時にボールボーイをやってくれてたんだよ』みたいな話と『WBCおめでとう』みたいな話も。そしたら『栗山さんのために、日本代表でプレーできるのは楽しみだ』って返ってきました」。

当時のエースで元日本ハムの斎藤佑樹氏(34)もインスタグラムで、奇跡的な縁のつながり方を野球の神様に感謝していたが、榎下氏も同様。「試合前の練習とかウオーミングアップを一緒にやってたんです。それを覚えてるんです。僕も一緒に写真を撮ったのを覚えていて、当時はラーズ君と呼んでいました」。

ラーズ君がヌートバーだと最初に気付いたのは、早実で斎藤氏とともに06年夏の甲子園を制して代表入りしていた船橋悠氏だった。「船橋からグループラインで『今回選ばれたヌートバーって、なんか名前が聞き覚えがあると思ったら、ホームステイしたところの息子さん』みたいな感じで(メッセージが来た)。『えーっ』となって、みんな結構覚えていた」(榎下氏)。

そんな流れで、榎下氏はヌートバーのインスタグラムをフォローすると、すぐにフォロー返しされ、英語でDMを送ってやりとりしていた。実は、榎下氏は当時のホームステイ先の娘さんと13年に結婚。「ここで嫁と出会って…という話を送ったら『すごいね』って」と、返信が来たという。

高校JAPANのお手伝いをしていた米国在住の少年が、17年の時を経て、侍ジャパンのユニホームに袖を通す-。こちらも思わず“すごいね”と言いたくなる夢のようなストーリー。ヌートバーに限らず、いろんな思い、運命を背負って代表メンバーは集結する。野球は物語。各選手が紡ぐさまざまなエピソードを、栗山監督が“神脚本”でつくりあげる最高のラストシーンを見たい。【遊軍=木下大輔】

榎下陽大氏(2017年12月撮影)
榎下陽大氏(2017年12月撮影)