<オープン戦:ソフトバンク4-10ヤクルト>◇9日◇ペイペイドーム

ペイペイドームの外では大粒の雨が降って春雷が鳴り響いていた。ソフトバンクは米国から戻った新加入の有原が先発マウンドに上がったが3回6失点。阪神から加入の2番手ガンケルも2回4失点。新顔2人で10失点…。ともに本拠地デビュー登板を笑顔で終えることはできなかった。3・31開幕まで残り3週間。先発候補ならば、残り3試合の登板数か。何とも厳しい現実となってきた。

「競争原理」を下敷きにして、藤本監督はチーム内のサバイバルをあおっている。打撃不振の三森にはヤクルト3連戦に加え、2軍戦の中日3連戦(タマホームスタジアム筑後)も昼夜兼行の「親子ゲーム」に出場させた。7回に巡ってきた3打席目。ようやく三森のバットから快音が響いた。1死満塁から市川の131キロのスプリットをはじき返し一、二塁間を破る右前タイムリー。オープン戦5試合目。12打席目での初ヒット&初打点だった。試合前。藤本監督は二塁の定位置争いについて、侍ジャパンに招集されている周東、牧原大の名前も挙げて三森との競争になると言っていた。打撃好調の上林の中堅の定位置取りも視野に入れているのだろう。「ジョーカー」と呼ばれユーティリティー的な存在からの脱却を目指してセンター一本に絞って自主トレ、キャンプを過ごしてきた牧原大にとっても看過できない状況になってきたということか。さらに「ロマン砲」のリチャードも前日(8日)の1発に続き、この日も途中出場ながら2打席目に中前打。しぶとくアピールを続けている。

気になるのは柳田のバットだ。オープン戦5試合で13打数1安打、打率7分7厘。キャプテン指名して絶大な信頼を寄せる藤本監督だけに、主砲の調整に心配はしていないのだろうが、開幕まで残り時間は多くない。そろそろ豪快な打撃を見たいと思っている鷹党も多いことだろう。【ソフトバンク担当 佐竹英治】