<日本生命セ・パ交流戦:広島1-5ソフトバンク>◇2日◇マツダスタジアム

何とも頼もしいリードオフマンだ。1番一塁で先発出場を続けるソフトバンク中村晃が、連敗チームに勢いを呼び込んだ。初回にいきなり左腕床田のスライダーを左前に運ぶと、3回の2打席目には2死二塁から高めの直球を再び左前に流し打つ先制打。

「得点圏にランナーを置いてのチャンスで、とにかく思い切ってスイングを仕掛けることを考えて打席に入りました。その結果が、タイムリーとなる1本になったと思います」。その後も2本のヒットを飛ばし、20年7月28日の西武戦(ペイペイドーム)以来、自身3年ぶりとなる4安打の活躍だ。9回の5打席目は遊飛に倒れ、9年ぶりとなる「5安打」はできなかった。「まあ、そんなに甘いもんじゃないです」と中村晃はニヒルに笑った。それでもリードオフマンとしてここ10試合は45打数19安打、打率4割2分2厘の驚異的な猛打ぶり。通算打率も3割1分1厘に引き上げた。

1番起用でしっかり答えを出し続けるベテラン男に藤本監督も大きな信頼を寄せている。と同時に、複雑な思いも交錯しているのは確か。「ほんと晃(中村は)よく頑張っている。本当は中(中軸で)打たせてやりたいんやけどね」。打線の機動性&得点力アップを考えれば、中村晃を中軸で起用し周東、三森ら走力を使える「1、2番」コンビの復調に期待しているものの、なかなかその気配が見えないもどかしさもあるようだ。お手本のような存在が目の前にいる。周東、三森にも早い開眼を求めたい。