<日本生命セ・パ交流戦:ソフトバンク2-1DeNA>◇6日◇ペイペイドーム

ソフトバンクが今季5度目のサヨナラ勝ち。勝負を決めた牧原大の殊勲打は当然ながら、先手を取った今宮の2号ソロも大きな1発だった。3回まで今永の前に打線は無安打。体調不良でチームを離れていた今宮がこの日から戦列復帰して2打席目。初球の148キロの高めの直球を迷わず振り抜くと打球は左翼テラス席に飛び込んだ。「今永投手は真っすぐが速く、強さがあるので、その真っすぐに負けないようにと打席に入りました。アリ(有原)がホークス初登板で踏ん張っている中で、先制点を取ることができて良かった」。笑顔でダイヤモンドを周回すると、今宮は照れながらベンチに戻ってきた。打線はその後も沈黙。8回まで今永から放ったヒットはこの1発だけだった。

試合前のこと。チームの打撃練習を見守っていた王球団会長は言った。「ウチはなかなか得点が挙げられていないよね。ホームランも少ないだろう? 打席で二塁打でいいや、みたいになっちゃっている。もっとホームランを狙わないと」。打線に向けて王会長が言いたかったのは本塁打量産ではなく、ホームランを狙うつもりで強くバットを振り抜かないと打撃が小さくなってしまうということだろう。大振りにならず、今永の強い直球に力負けしないスイングで柵越えした今宮の一打がなければ「サヨナラ勝利」も生まれなかったのかもしれない。

チーム本塁打は50試合で30本。現時点でリーグ最少だ。単純に3倍しても90本だから、このままのペースだとシーズン換算では100本どころか、80本台である。本拠地ペイペイドームでは15年にテラス席ができてからアーチ数は激増。昨年までの8年間でチーム本塁打は18年の202本を筆頭にすべて100本塁打以上を記録している。今季は量産が見込めなくても「強く振り抜く」打撃は追求しなければならない。【佐竹英治】