西武山川穂高内野手(31)が5日、5月に発覚した自らの不祥事を公の場で謝罪した。不起訴決定を受け、9月4日に1軍ならびに2軍の公式戦無期限出場停止の処分を受けている。9日からのみやざきフェニックス・リーグは処分対象外で、実戦復帰となった。今年の球界を騒がせた「山川穂高」はどうなってしまうのか、注目され続けた。
9月末から10月初旬にかけて、ベルーナドームとカーミニークに取材に行く機会があった。山川選手からひと言でもいいから言葉が聞きたかった。連日駐車場で待ち、帰路に就くタイミングで声をかけるも、無言。当然である。「話さない」のではなく「話せない」のだ。そんな事は百も承知している。この“やりとり”を4日ほど繰り返して迎えた10月4日、室内練習場とベルーナドームの間でばったり鉢合わせ「いつも押しかけてしまってすみません」と謝罪すると、約5分に渡って口を開いてくれた。
私は大卒1年目の新人でまだ担当球団を持たない「遊軍」として動いている。山川選手からすれば「見覚えのない記者が連日突撃してくる」という感覚だろう。うっとうしくなってつい話してしまったのかもしれない。思い返せば4月の新人研修で「記者は足で稼げ。何度も足を運ぶべし」と何人もの先輩方に教わったものである。はたから見れば、記者とは実に効率の悪い仕事かもしれない。話を戻す。
山川選手は「近いうちに公の場で謝罪をさせていただきます。それまでは今日話したことは書かないでください」ということを条件に取材に応じてくれた。5月12日に出場選手登録を抹消されて以降、3軍で練習のみを行ってきた。3軍には未来の西武を担う若獅子が汗を流している。
「10歳ほど年が離れた選手たちと練習して、どうですか」というなんともざっくりした質問をぶつけると「なんかかわいいですよ。すごい」と率直な感想が返ってきた。続けて「自分が18歳の時、こんなに野球うまかったかなみたいな。自分の18歳どうだっけなって。でもやっぱり、飛ばす力がある人とか、すごい足速かったりとか、そういう一芸にたけた人がやっぱプロに来てるんで、うん。聞かれたことは答えてましたけど。考える力というか、自分が活躍するために、こういうアプローチをしていった方がいいかなっていうのは、考えた方がいいよっていう話はしました」と一言一言、じっくり考えながら話した。
その翌日、謝罪が行われた。その中で忘れられない発言があった。自身に関する報道や、それに寄せられる厳しい意見を「見られる範囲で全部見てました。厳しい声のほうが多かったと思います。それでも僕のしてしまったことなので。そこから目をそらすのではなくて、自分の目で全部見て、受け止めて反省して、これからの取り組みにつなげていくしかない」と直視したのだ。
美談にしたいのではない。私も仮にも大学まで野球を継続した身として、山川選手の立場を自分に置き換えた時に、同じようにできるだろうかと考えた。試合に絶対出られないのに練習を続け、自身の不祥事とはいえ、表に出ただけでニュースになり、誰が書いたかわからない大量の批判的なコメントを直視できるだろうか。非難にさらされない唯一の方法は「野球をやめること」ではないか。だが山川選手は自分と、社会と向き合った。先が見えない中で練習を続けた。
嫌疑不十分になった…から済む話ではない。1人の女性から訴えられたのは事実だ。ただ山川選手は再び野球をするチャンスを与えられた。それに対して疑問の声が上がるのも当然だ。今月23日に国内FA権を取得し、西武に残留か、はたまた移籍かも決まっていない。どちらの決断でも、プレーを続ける以上、より一層風向きは厳しくなる。それでも「野球で取り返すしか方法が見つからない」と、そう決めたのなら、とにかく全力でプレーしてほしい。
がんばれ、山川選手。【黒須亮】







