日本シリーズ開幕戦の1番スタメン起用から2カ月、オリックス池田が大阪・舞洲で自主トレに励んでいる。昨季は、ウエスタンリーグで首位打者(3割1厘)と最高出塁率(3割6分2厘)の2冠を獲得。毎年のように陣容を変えながらリーグ制覇を続けるオリックスで今季、レギュラー取りを期待される若手の1人だ。

周囲をあっと驚かせた1番起用だった。昨年10月28日の阪神との頂上決戦第1戦。池田は「1番・左翼」で先発メンバーに名前を連ねた。シーズンの要所で「ナカジマジック」と呼ばれる大胆な選手起用を成功させてきた中嶋監督だけに、「1番池田」は短期決戦の流れを引き寄せる勝負手かと思われた。ただ、結果は2三振と1併殺打を含む4打数無安打。日本シリーズの出番は、開幕戦が最初で最後になった。

開幕戦のあと、チームの先輩から「タイミングの取り方は悪くない」と励まされたという。だが、内容がよくても結果を出せなかったことの差は、池田がだれよりわかっている。大阪桐蔭の先輩の中日中田や楽天浅村、オリックス森らは、チャンスを確実にものにして今の地位を築いてきた。大チャンスで結果を出せなかった悔しさを、池田は忘れない。「(阪神先発の)村上さんの投球は、すごくよかったです。でも、完全試合やノーヒットノーランではなかったのに」。なんとかしたかったとくちびるをかんだ経験から、池田の24年は始まる。

高校最後の夏を甲子園大会2回戦で終えたあと、恩師の西谷浩一監督(54)は「池田に優勝旗を持たせてやりたかった」と悔やんだ。野球へのひたむきさは、当代最強の名将も認めていた。オリックスでも「本当によく練習する」とまわりが舌を巻く。23年10月28日の1番起用がどう実を結んでいくのか、見守りたい。【堀まどか】