第101回大会は台風10号の影響を受けましたが、大会はベスト8を巡る激戦に移りました。佳境を迎えつつある甲子園大会のここまでを「熱闘甲子園」のキャスター・古田敦也さん(54)が振り返ります。

 
 

古田敦也氏
古田敦也氏

投手では星稜の奥川投手が抜けてますね。内外角を投げ分ける制球に加え、高低も使い分けができています。四球で崩れる投手ではない安定感があります。

ここからはカーブも使ってくると思います。そうなると、スピード、制球に加えて緩急もプラスされてくる。その奥川投手を智弁和歌山がどう攻略するのか。非常に楽しみな試合です。

敗れましたが、近江の林投手は受けてみたいと思わせるピッチャーでした。130キロ台のストレートをインコースに投げる制球、緩いカーブを投げる勇気、そして外へのチェンジアップ。投球モーションも、ほんのわずかにタイミングを変える器用さもある。東海大相模戦では失策もあり、本来のピッチングが発揮できなかったように映りましたが、もっとしつこくけん制を続けていたら、どんな展開になっていたかと連想させる投手でした。

また、霞ケ浦の鈴木投手、旭川大高の能登投手、米子東の左腕森下投手はもっと見たい投手でした。

捕手では星稜・山瀬、中京学院大中京・藤田、近江・有馬、智弁和歌山・東妻、東海大相模・井上の各選手が印象に残りましたね。星稜の山瀬捕手は鉄砲肩。私も川西明峰の時は強肩でしたが、それよりも強いな、という感じです。

内野の守備については、イレギュラーバウンドへの対応に感じることがあります。打球に対してチャージして入ってくる選手が目立ちます。

つまり、深めにポジションを取って、打球に対して助走して捕球するイメージです。それでは、内野手のグラブと打球はカウンターで遭遇することになる。すると、わずかなズレで打球をはじくことにつながります。

必要以上に深くポジションを取らず、その上で、打球に対して前に出て処理することが大事です。夏の甲子園大会のグラウンドは非常に硬い。連日35度の暑さの中で試合をするので、表面に水をまいても、表層の下はカッチカチ。プロはナイターですから、日が傾いてから水をたっぷりまけば、日中よりも土はしっとりしてきます。

真夏の昼間に試合をするだけに、内野手は硬いグラウンドを念頭に「跳ねるものだ」の前提で、前に出ての打球処理が求められます。ここをよく感じて守備をするチームが出てくるか、注目しています。

甲子園は素晴らしい球場です。残り試合が限られてきた中、ベストのプレーを大観衆の前で失敗を恐れず披露してもらいたい。そう切に願います。【熱闘甲子園キャスター・古田敦也】