オリックスには厳しい戦いが続いています。8月20日の西武戦後、球団は16勝33敗4分けの成績を受けて西村監督の辞任を発表し、中嶋監督代行での新体制をスタートさせました。

こうなってしまうと今季中に立て直すのは厳しいと思います。CSに進出する2位の到達ラインを仮に64勝と予想すると、オリックスは残り54試合を43勝11敗が必要になります。単純にあてはめると、9月の残りを19勝3敗、10月20勝7敗、11月を4勝1敗です。この数字を見て、無理! と思えば、実質的にチームは消化試合を戦うことになります。

オリックス中嶋監督代行(2020年8月21日撮影)
オリックス中嶋監督代行(2020年8月21日撮影)

私は中嶋監督代行が来季も監督を務めると予想しています。チームは来季を見据えた戦いをしていくことになると思います。シーズン途中で監督が退任する緊急事態、ある意味そうなってしまうのは当然のことだと感じます。まず、中嶋監督代行、コーチ陣が選手としっかりした意思の疎通を図ることが求められます。

目標を失ったチームは、例えばサインが出ていなければ、選手が自発的に自己犠牲の精神で進塁打を打つことは考えにくくなります。自分の打率を優先させたいと思うのが普通だからです。そうなると、チームとして試合に勝つ目的意識を共有できなくなります。

プロ野球ではチームの規律、選手間の共通認識が非常に大切です。今季の特殊シーズンを戦う上で、いくつかのポイントがありました。試合数143が16%も減り120になったこと、CS進出は上位2チームに変更になったこと。そして、6~8月に6連戦が9カードも組まれたことです。

6連戦の戦い方が、開幕ダッシュには必須でしたが、オリックスはその難しさにのみ込まれたチームといえます。6連戦の初戦となったロッテに、史上初となる同一カード6連戦での6連敗。その敗戦の中に、規律のなさ、選手間の認識のずれが散見されました。無理なチャレンジで本塁憤死、外野手の悪送球で進塁を許す、二塁打しながら三塁への暴走。自滅感が半端なかった印象でした。

記録には残らないミスとして代表的なものを解説しておきます。打者走者が先の塁を狙う時は、<1>外野手が内野へ高投した時<2>二走もしくは三走のホーム生還が微妙で、援護するために意図的にはさまれる、この2パターンを確認しなければ。基本的なことですが、プロでも規律が乱れれば、判断を間違えます。

オリックスの借金19は対ソフトバンク(3勝14敗1分け)対ロッテ(2勝12敗1分け)の負け越しに起因しています。いかにロッテ戦の6連敗で出ばなをくじかれ、それに苦しめられたか、よく分かります。ファンは希望を見いだすのが難しい秋になりつつあります。開幕直後に基本的なことが崩れ、みるみる借金が膨らんだことを肝に銘じ、中嶋監督代行の下、本来の動きを再認識してもらいたいです。(つづく)

里崎智也氏
里崎智也氏

◆YouTuber里崎氏の「里崎チャンネル」は登録数約35万人(3日現在)。3連戦ごとの「12球団全試合総チェック」「月間各チーム総チェック」など、体力と日程が許す限りすべての試合をチェックする、情熱あふれる企画満載。