6年の現役生活に悔いなし。DeNA百瀬大騎内野手(23)は、球団職員として第2の人生を踏み出す。

11月初めの休日、マネジャーからの電話が鳴った。「『明日、ハマスタに来てくれ』と。ちょっとは覚悟していたんですけど、やっぱりきてしまったという感じでした」。まだ動ける23歳。一瞬は現役続行も考えたが、球団から野球振興に携わる仕事を提案され心を決めた。「(引退後の)仕事がないという人たちの話も聞くので、不安だったんですけど、お話をいただいて、選択肢を作っていただけて、うれしかったです」。今後は野球振興部の一員として幼稚園や小学校を訪問して競技普及に努め、球団が運営するスクールのコーチとして指導に携わる予定。「野球を教えたいなと思っていたので、こういう機会をいただけてうれしいです。自分の持っている知識ですとか、周りの選手の考え方とかも聞いていたので、そうしたものを教えていければ」と話した。

9月、巨人戦の7回表DeNA無死一、二塁、プロ初安打となる中前適時打を放つ百瀬
9月、巨人戦の7回表DeNA無死一、二塁、プロ初安打となる中前適時打を放つ百瀬

プロ生活一番の思い出は、今年9月3日、巨人戦(東京ドーム)でのプロ初安打初打点だ。7回無死一、二塁、沼田の142キロを中前にはじき返した。「素直にうれしかったのが一番です。どうにか打ちたいという気持ちがあったので、1本出て、本当にホッとした感じでした」。1軍でのヒットはこの1本だけで表舞台を降りるが、球団には感謝しかない。「後悔…そういうものはほとんどないです。全然結果が出ていない年の方が多かったので。6年間野球をやらせていただいたことは一番、感謝しています」。

DeNA百瀬の年度別成績
DeNA百瀬の年度別成績

23年ぶりのリーグ制覇を目指す新生DeNAベイスターズ。背番号はなくとも、チームを陰から地道に支えていく。【鈴木正章】

20年DeNA退団選手
20年DeNA退団選手