巨人阿部2軍監督の参謀役として金杞泰2軍ヘッドコーチ(51)が今季から首脳陣に加わった。韓国の主砲李承■が所属していた07~09年以来の入閣。韓国プロ野球で初の左打者での本塁打王を獲得した打撃技術はもちろん、韓国3球団で指導者を務めた経験を惜しみなく還元する。若手の育成がチームの底上げ、レベルアップへの鍵をにぎる。若手指導の哲学を聞いた。

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-指導する上で意識していることは

金コーチ(以下金) まず規律。それから、将来のこと、正しい行動、正しいやり方、どういう風に成長していくか。将来のことに目標意識をもたせるようにコミュニケーションとっている。

-若者世代とのジェネレーションギャップをどう埋めるのか

金 年の差はあるけど、親孝行することとか、礼を守ることは今現在でも変わることはないと思う。個人個人違うと思うけど、正しく考える、目でいいものを見る、耳では悪い誘惑に乗らない、口では正しいことを言う。そういうところを意識して行動したら間違えることはないと思う。選手として正しい道を歩んでいける。

-育てていく過程での若手に意識させたいことは

金 例えば練習の時に動画を撮ってみる。1つは100%の努力でプレーする。もう1つは適当にフラフラしながら50%とか80%の態度でプレーする。その両方の動画を両親に送ってみれば、全力かどうかはすぐ分かる。そういうところを意識しながら自分を客観的に見ることができれば成長できるんじゃないかと。

-自身の現役時代の経験則から取り入れている考え方は

金 自分がアマチュア時代は、韓国の野球環境は悪かった。その時に自分が描いたのは10年後、20年後の自分を考えながら、自分との戦いだった。グラウンド上で野球選手として義務と権利がある。義務は一生懸命練習すること。義務をちゃんとすれば権利はついてくる。

-前回の在籍時は阿部2軍監督は主力選手だった。今の姿を見てどう思うか

金 阿部慎之助さんは選手としてスーパースター。私の立場は監督がいい仕事ができるようにサポートする。少しでも監督の役に立てるようにサポートしていきたい。【為田聡史】(この項おわり)

※■は火ヘンに華

◆金杞泰(キム・キイテ)1969年5月23日、韓国生まれ。韓国サンバウルン、サムスンなどで15年間プレーし、首位打者1回、本塁打王1回、ゴールデングラブ4回など数々のタイトルを獲得した。07年には巨人で育成担当コーチに就任。08年からの2年間は2軍打撃コーチを務め、09年には同職と兼務して、イースタン・リーグ若手による混成チーム「フューチャーズ」の監督も務めた。その後は韓国球界に戻り、LG、KIAなどで監督を務めた。