昨季まさかの4位に終わったソフトバンクが、今季もペナントの行方を左右するチームであることは間違いない。メンバー表を見れば大きな変化は感じられない。それでも選手層は厚い。その中でも現有戦力の伸びしろで、どれだけ上積みができるか。先発陣では6年目で未勝利の田中正義投手(27)がカギを握る。

ブルペン投球では抜群の直球を投げ込んでいた。力感のないフォームから、初速も速く、さらにベース際も速さを感じさせる球だった。フォームも以前と変わった印象を受けた。サファテのように少し担ぎ上げながら真上から投げ下ろしていた。違和感がなく、しっくりとなじんでいるように見え、直球に角度も生まれている。

田中正義(2022年2月3日撮影)
田中正義(2022年2月3日撮影)

最後に甲斐に打席に立ってもらい、左右の打者を想定してカウントを数えていた。ともに完璧なアウトローの直球で最初のストライクを奪う。カットボールや、カーブで1-2とカウントを整えてからが問題だった。フォークがベース付近でワンバウンド。甲斐は構えているだけなので仮想の対戦だが、打者を振らせるには至らない球筋だ。結局、フルカウントまでフォークを多投して、カウントを悪くしていた。

なぜ、あの抜群の直球でもっと勝負しないのか。もったいなく、感じた。本人の理想としては直球やカットボールなどで追い込んでからフォークで空振りを奪う組み立ても構築したいのだろう。課題を持って投げていることも理解できる。だが、あのキレに制球力も伴っている直球に5球団が競合してドラフト1位指名した。もっと自信を持っていい。元々の理想が高いのだろうが、少しヤンチャな投球も必要だ。

田中正義(右)は投げ終え、甲斐と話をする(撮影・梅根麻紀)
田中正義(右)は投げ終え、甲斐と話をする(撮影・梅根麻紀)

カットボールも精度が悪いなら直球を狙われるが、質は悪くない。ベース際で落ちながら曲がるのではなく、横滑りに曲がる。右打者は直球のタイミングで振り遅れ気味にスイングすると、横滑りのカットボールに合ってしまうかもしれない。だが左打者は手元で曲がって打ちにくい軌道だ。

フォークは千賀のような落差がなく、自分のイメージしたところに落とせないのだろう。落ちにくいから余計に低めに投げようとして、たたきつけがちになる。だが空振りを取るだけではなく、ゴロを打たせる使い方もフォークはできる。そうすれば今ある直球はさらに効いてくる。

田中正が先発ローテに入ってくれば、現状では6枚程度の先発陣に余裕が生まれる。ソフトバンクの戦いにも影響してくる存在だ。(日刊スポーツ評論家)