将来の日本を背負う若侍がいる。3月に予定されていた強化試合・台湾戦(東京ドーム)は新型コロナウイルスの影響で中止となったが、23年3月には第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の開催が見込まれる。侍ジャパンの経験がない12球団の若手有望株にスポットを当てる「未来の侍たち」第6回。

21年9月、オリックス戦に先発する楽天早川
21年9月、オリックス戦に先発する楽天早川

国際経験豊富な投手が楽天にいる。早川隆久投手(23)は、2度侍のユニホームに袖を通した。16年、木更津総合(千葉)時代はU18日本代表としてアジア選手権に出場。19年は大学日本代表として日米大学選手権に出場。期待がかかるのは“フル代表”デビュー。「トップチームに入るのも目標にしているところではある。そこも目指してやっていかないといけないが、まずはリーグ戦の結果を出さないと招集されないと思う」と引き締める。

日本人同士の戦いとは違う独特な雰囲気でのマウンド。その経験が、今の早川の血肉となった。「一発勝負でいかにベストコンディションに持っていけるかが大事。どれだけ長いイニングを投げて、リリーフ陣にいい流れで渡せるかというところも大事。勝負強さは必要なのかなというのを感じた」。大舞台で投げたからこそ、身についたのは勝負勘。プレッシャーがかかる場面でも動じず、力を発揮できる。

楽天早川の年度別成績
楽天早川の年度別成績

プロ入りしてからは体験したことのない侍の真剣勝負。昨年の東京オリンピック(五輪)では選出されず、金メダルを獲得した瞬間をテレビで見た。「同学年である山本由伸投手だったり。後輩だったら平良投手、村上選手が活躍してるのを見て、自分も頑張らないといけないな」と刺激を受けた。プロ2年目の今季、持ち球のスライダーをスラーブ気味の変化から縦に落とす変化に改良中。三振を奪えるウイニングショットを習得し、投球の幅を広げようとしている。ルーキーイヤーは9勝だったが、今季は「2ケタ(到達)で止まらずに。15勝、16勝と高い数字を目指してやっていきたい」と力強い。自分に厳しく、ひたむきに高みを目指す23歳。まずはリーグ戦で圧倒的な投球を見せ、満を持して日の丸を背負う。そんな青写真を描きながら、毎日汗を流している。【湯本勝大】