完全試合を達成したロッテ佐々木朗希投手(20)を多角的に掘る。「朗希を○○しよう」の第4回は、希代の剛腕にまつわる偶然の数々を振り返る。過去、現在、これから。運命的な背景も感じつつ、みなさんも「朗希を巡ろう」。

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佐々木朗には不思議とストーリーが付いてくる。164キロや奪三振ショーだけでない。運命めいた偶然、巡り合わせが連なる。これまで4年間の取材から、驚きの一例を振り返る。

<1>怪物くん

少年時代、岩手県内に「早寝で子どもの背が伸びる」説が広まり、母陽子さんも実践。次男の朗希ら兄弟を夜8時に床に就かせ、効果あってか身長が一気にアップ。「令和の怪物」と呼ばれる礎を作った。一方で、早寝のためにテレビドラマ「怪物くん」は見られず。教室でのドラマの話題に付いていけなかった。

<2>小さな街に

小3で野球を始めた当時の仲間には、大船渡高時代に160キロを捕った及川恵介捕手(東北学院大3年)、1500メートルの中1日本記録を樹立し、現在は来春の箱根駅伝出走を目指す佐々木塁選手(青学大陸上競技部3年)がいた。類いまれな才能が密集していた。

<3>七夕のニアミス

朗希少年と塁少年とは震災後に離ればなれに。高校時代に1度ニアミス。塁選手が陸上部員として過ごす盛岡一高に朗希が野球部の練習試合で訪れ、21奪三振の快投。7月7日のことだった。その試合を視察した唯一の球団がロッテ。

<4>163キロ

19年4月6日に国内高校生史上最速の163キロをマーク。その2週間前の3月23日、11年の震災で被災した海沿いエリアを走る三陸鉄道リアス線が全長163キロで運転開始した。

<5>千葉へ

ドラフト1位で4球団競合の末にロッテへ。震災数カ月前の家族旅行で東京ディズニーランドを訪れ、その帰りにマリンスタジアムにも寄っていた。マリンでは少年時代に「リアスリーグ」でプレー経験も。

<6>筑波

入団時の吉井投手コーチ(現投手コーディネーター)は以前、筑波大大学院で勉強。大船渡高の国保監督(当時)も筑波大出身。

<7>イエスタデイ

4月3日、ZOZOマリン初勝利で本拠地では初めてのお立ち台へ。大船渡市民の1日をねぎらう「イエスタデイ」のチャイムが鳴り終わった午後5時1分、ちょうど朗希のヒーローインタビューが始まった。

<8>金曜朗希ショー

今回の中11日での金曜ローテ移行を「“ローキの休日”を経て“金曜朗希ショー”」と5月3日付日刊スポーツ1面で報道。翌週13日の「金曜ロードショー」(日本テレビ系)は偶然にも映画「ローマの休日」が放送予定。

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プロ生活はまだ序章。この先、どんな偶然の一致があるのだろう。ゾクッとした分だけ、物語が濃くなっていく。【金子真仁】