WBCに挑む侍ジャパンのメンバー30人が決定した。連載「侍の宝刀」で、30人の選手が持つ武器やストロングポイントにスポットを当てる。
「自身の一番の強みは何だと思いますか?」。報道陣からの質問に、DeNA牧秀悟内野手(24)は「勝負強さ」を挙げた。
牧 やっぱり勝負強さというか、そういうところを侍ジャパンでも見せられるようにやっていけたらなと思っています。
過去のWBCで最も印象に残るシーンには、09年の日本-韓国との決勝戦で試合を決めたあの1本を挙げた。「やっぱり、イチローさんのセンター前ヒットが一番印象に残っています」。小学生のころに歓喜した瞬間を思い起こし、興奮がよみがえった。
昨年、球団では60年桑田武以来、62年ぶりとなる2年目での開幕4番に名を連ねた。オープン戦中に早々と指名した三浦監督が、決断した理由に挙げたのも「勝負強さ」だった。
三浦監督 勝負強いですからね。牧なら任せられると思って判断しましたし、牧が打てなかったらしょうがないと割り切れる。
「勝負強さ」はデータが裏付ける。プロ1年目はリーグ6位タイの得点圏打率3割4厘。昨季は同3割3分1厘でヤクルト村上、広島菊池涼に次ぐ、3位にランクインした。今オフも「得点圏の鬼」と称される大和に2年連続で弟子入りし、さらに磨きをかけた。
周囲から注目される試合で活躍する「勝負強さ」も印象的で、昨年11月に行われた侍ジャパン-日本ハムの強化試合では初打席でアーチを放ち、“栗山ジャパン”1号をマーク。昨年の交流戦では、ロッテ佐々木朗とのシーズン初対戦で右翼席へ本塁打を放った。
応援するファン目線では、どうなのだろうか。ツイッター上で募集すると「どの方向にも打てる打撃と二塁打の多さ、そして自ら先頭に立ってチームを盛り上げる前向きで明るい性格」や魅力あふれる「人間力」が挙がった。
試合では佐野、桑原らとともに本塁打パフォーマンス「デスターシャ」でチームを盛り上げ、試合途中に雨天中止が決まった昨年8月4日の広島戦では知野とともにグラウンドで「ブルブルダンス」を全力で踊って、ファンを喜ばせた。
今オフの自主トレでは、自身の目の前に人体骨格模型を置き、強化する部位を確認しながらトレーニング。約500グラムの木刀を手にし、“侍”が刀を振り下ろすように上下しながら体幹を強化した。身も心もサムライと化し、世界の強敵を“斬る”。【久保賢吾】