WBCに挑む侍ジャパンのメンバー30人が決定した。連載「侍の宝刀」で、30人の選手が持つ武器やストロングポイントにスポットを当てる。

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最年少で侍ジャパンに選出された中日高橋宏斗投手(20)は「探究心」を武器に大舞台に挑む。

「選ばれても選ばれてなくても、でも、選ばれた時に準備不足になることだけはしたくなかった」。昨年12月からオリックス山本の下、大阪で自主トレを続けてきた。栗山監督からの電話で日本代表招集を伝えられた若竜は、安堵(あんど)の表情をのぞかせた。

19日、ブルペンで投球練習をする高橋宏
19日、ブルペンで投球練習をする高橋宏

先に侍ジャパン入りを発表された山本にはもちろん、チームの先輩、大野雄、柳、小笠原には自ら報告した。「3人はここまで成長してこれた、でかい存在。3人のおかげでこうやって今の自分があると、伝えました」。20年ドラフト1位で入団した右腕は2年目の昨季に飛躍した。シーズン中、エース大野雄からは3連戦中の情報交換の重要性を教えられ、柳には登板後に投球内容を批評してもらった。15年東海大相模の夏の甲子園V腕として入団した小笠原からは、自らも経験したプロ2年目の心構えを伝授された。竜投3本柱の知恵を吸収して、登板間隔を空けながらも背番号と同じ19試合に先発。最速158キロの直球とスプリットのコンビネーションで6勝7敗、防御率2・47の好成績を収めた。

高橋宏の22年11月強化試合成績
高橋宏の22年11月強化試合成績

昨オフからは11月の侍ジャパンの強化試合で関係を深めたオリックス山本に弟子入り。キャンプまでの約2カ月間をともに過ごした。「(山本)由伸さんも体のケア、投げるための準備が大事だという意識でやってる。かなりやることが多いので、やらないと不安になるぐらい自分の体に染み込ませた」。日本一に導いたエースから、試合へ向けての体の作り方、食事方法をみっちりと学んだ。「(11月の)強化試合が終わってから、(代表に)入りたい思いで、準備はやってきた」。昨年12月からはNPB公式球を封印。沖縄・北谷キャンプでもただ1人、WBC使用球だけを使い続けた。

プロ入りへの背中を押した中京大中京(愛知)高橋源一郎監督(43)は教え子を「あの子は探究心が強い」と評価。パドレス・ダルビッシュ、エンゼルス大谷らからも知識をさらに吸収する。「(WBC代表を)これだけ早く、経験ができるとは、想像してなかった。年齢とか年数は関係ないと思う」。最年少右腕は、大舞台で自身に磨きをかける。【伊東大介】