侍ジャパンが1次ラウンドを突破した。ここまでの戦いぶりを世界最高峰の舞台を経験した「WBC賢者」が総括し、今後を占った。

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1次ラウンドは完勝だった。そしてこのラウンドでの最大の目的は勝つことではなく、勝ち方にあった。全員を使って勝つ、ここが非常に大切だった。

準々決勝以降、誰が好調かを確認できたことで、今後のビジョンが見えてきた。これが接戦につぐ接戦では、全体の3分の1の選手は使えないケースも想定された。ほぼまんべんなく試合に使ったことが、今後に生きる。

日本対韓国 3回裏日本無死一、三塁、適時二塁打を放つ近藤。投手金広鉉(2023年3月10日撮影)
日本対韓国 3回裏日本無死一、三塁、適時二塁打を放つ近藤。投手金広鉉(2023年3月10日撮影)

何よりも攻撃面で目を引くのが近藤の好調ぶりだ。もはや侍ジャパンの打線の心臓といえる。2番近藤が打つから、3番大谷にはほぼ無死か1死でチャンスが回っている。近藤がつなぐから、下位打線からの攻撃が主軸につながる。ヌートバー、近藤の1、2番の打力が打線の生命線といえる。

近藤の活躍は、みんなでアクシデントをカバーする侍ジャパンの強さを体現している。大会前の予想では中堅ヌートバー、左翼吉田、右翼鈴木が有力だった。鈴木の故障は大きな誤算だったが、その穴を近藤が見事に埋めた。打撃好調な近藤は2番に入り、1次ラウンドで機能した打線の核となった。

近藤が抜群の勝負強さを発揮して大谷以下につなげ、打線は活発に回り、打力によって投手陣への負担を軽減できた。それにより選手をまんべんなく使い、好不調を試すことにつなげた。1次ラウンドでの近藤の貢献はそれほど大きかった。

国際大会はいつも必ずアクシデントがある。06年の第1回大会でも黒田さんが調整段階でうまくいかず、招集できなかった。大会が始まると岩村などに故障が出た。そしてその都度、みんなでそのカバーをしてチーム力をキープした。

故障があっても、アクシデントがあっても、ここに集うのは全員がスーパースターだ。誰かが抜けても、遜色ないくらいにカバーできる。侍ジャパンはそうした層の厚さ、選ばれた実力者の集合体であると再認識させられた。

里崎智也氏(2022年11月撮影)
里崎智也氏(2022年11月撮影)

最後に栗林に代わり山崎颯が招集されたが、合流してから何の不安もない。ダルビッシュがうまくチームに溶け込むようにしてくれるはずだ。こうしたところにも、チームが団結して世界一を目指す機運が感じられる。(日刊スポーツ評論家)

(この項おわり)