カメラマンがファインダー越しに心を揺さぶられた場面を撮影した珠玉の1枚で、野球界のこの1年を振り返る新企画「写真の力」。全6回の第3回です。

■カメラマン・加藤哉

普段から阪神を追いかけているカメラマンとして、いよいよ日本一が間近に迫ってきた11月4日、日本シリーズの第6戦。第1戦と同様に、阪神は村上頌樹投手(25)で、オリックスはおそらく日本では最後の登板になると思われていた山本由伸投手(25)が先発した。早く阪神の日本一を撮りたい思いと、頭の隅から離れない「山本の好投も見たい」という、相反する思い。

試合はオリックスのリードで進み、終盤の山本をセンターからカメラ越しに見る。まさに圧巻だ。力をセーブしていたのか? と疑いたくなるほどの球威。最後の打者・近本を二ゴロに仕留め、マウンド上から打球を追った山本は二塁を向いて指さし、力強い拳をそのまま天に向けた。

 
 

阪神の日本一に立ちはだかった山本。撮る者の集中力をさらに高めさせ、観衆の視線をくぎ付けにさせたその投球に対し、感嘆すると同時に、カメラマン冥利(みょうり)に尽きた瞬間だった。

■カメラマン・足立雅史

王者阪神が、広島を本拠地に迎えてのCSファイナルステージ。第2戦は最後まで目の離せない一戦となりました。9回2死満塁、打席には木浪聖也内野手(29)。ライト前にサヨナラの打球が転がると、甲子園に地鳴りのような歓声が響き渡りました。

 
 

この写真はウオーターシャワーがヒーローのヘルメットに直撃した瞬間。撮影した外野のカメラ席はスタンドの座席の一角のため、すぐ真後ろには歓喜の阪神ファンの姿がありました。勝利の六甲おろしを背中に聞きながら、写真の送信作業をしていると、パソコン画面を見たファンから「すごい良い写真ですね」とカメラマン冥利(みょうり)につきるひと言。その言葉に対して自然と出た言葉が「日本一できるといいですね」でした。そんなやりとりができたのが、この写真の思い出のひとつです。38年ぶりの“アレ”。本当におめでとうございます!