今季のMLBは、18日と19日のカブス-ドジャースの日本開幕戦(東京ドーム)で幕を開ける。大谷翔平投手(30)山本由伸投手(26)佐々木朗希投手(23)が所属するドジャースと対戦するのは、鈴木誠也外野手(30)と今永昇太投手(31)を擁するカブス。2選手以外にも数多くある注目すべきポイントを紹介する。第1回は、早い時期から日本開催を心待ちにしてきた知将クレイグ・カウンセル監督(54)。開幕投手に指名した今永への信頼感や、日本球界への敬意を口にした。

2月10日、ウオーミングアップをする選手を見つめるカブスのカウンセル監督(ロイター=Rick Scuteri-Imagn Images)
2月10日、ウオーミングアップをする選手を見つめるカブスのカウンセル監督(ロイター=Rick Scuteri-Imagn Images)

昨季からカ軍を率いるカウンセル監督は、日本での開幕シリーズへの期待を率直な言葉で表現した。「待ち切れない。とてもいい経験になると思う。野球だけでなく、文化的な経験も楽しみたい。日本球界の大物スターがそろうしね」。名門ノートルダム大出身の知性派監督は、初めて触れる異国への興味を隠そうとしない。昨年、それまで9年間率いたブルワーズを離れ、同地区の宿敵でもあるカ軍へ「移籍」した。現役時代、5球団を渡り歩いたカウンセル監督にとって、異なる環境に身を置くことは、刺激的な挑戦だった。

投手に背中を向ける、独特の打撃フォームで人気を博したカウンセル監督は、現役時代から注目が集まる舞台で力を発揮するタイプだった。マーリンズ時代の97年とダイヤモンドバックスに所属した01年にワールドシリーズを制覇。01年ナ・リーグ優勝決定シリーズではMVPに選出された。ブ軍の監督としては、9年間で地区優勝3回、ポストシーズンには5回進出した。奇をてらうような采配ではない。内野手出身でもあり、細かい状況を設定したうえで守備や走塁を重視。傑出した選手が不在でも、堅実な戦術と適材適所の選手起用で、常にしぶといチームを築き続けてきた。

その知将が開幕投手の大役を、2年目の今永に託した。「昇太にとって最も大きなチャレンジになるだろう。だが、彼はチャレンジが好きだし、昨年はすばらしいシーズンを過ごしたから」。今永にとって、重圧のかかる故郷日本での開幕マウンド。だが、今永の前向きな性格を知るカウンセル監督は、まったく心配していない。「(開幕投手を告げた時)リアクションはなかったよ。彼は予想していたんじゃないかな。彼はユーモアのセンスもあるし、リラックスの仕方も知っている。ファンも楽しんでくれると思う」。ひと足先に発表されたド軍山本との「日本人対決」となる決断に迷いはなかった。

もっとも、日本での開幕シリーズは、単なる派手な「イベント」ではない。20年以来の地区優勝を目指すうえで、同リーグの世界一ド軍は倒しておくべき相手に変わりはない。「いい打線だよ。ワールドシリーズに勝ったタフなチーム。ただ、相手にして戦うのは楽しい。多くの才能があるから」。開幕2連戦に、今永、スティールの両左腕を起用する方針なのも、大谷、フリーマンら左の強打者対策をイメージしているからにほかならない。

カウンセル監督の年度別成績
カウンセル監督の年度別成績

23年オフ、カ軍経営陣は、契約が1年残っていたデービッド・ロス前監督を解雇してまで、監督として史上最高額となる5年総額4000万ドル(約60億円)でカウンセル監督を招請した。16年以来の世界一をつかむには、選手の補強だけでは不十分。フロントと選手との間でバランス良く距離感を維持できる監督として、知性派に白羽の矢を立てた。

日本での2試合はカ軍の主催試合の扱いだが、ド軍ファンで埋まる可能性は高い。だが、東京ドームが「アウェー一色」になろうが関係ない。「162試合の最初の2試合に過ぎない。最終的にベストの162試合にするだけだ」。現役時代以来、「アンダードッグ(人気薄、劣勢予想)」から勝つ喜びを知るカウンセル監督はそう言うと、ニヤリと笑った。【四竈衛】

◆クレイグ・カウンセル 1970年8月21日、米国インディアナ州サウスベンド生まれ。ノートルダム大から92年ドラフト11巡目でロッキーズ入団。95年メジャーデビュー。97年マーリンズ、01年Dバックスで世界一。01年はリーグ優勝決定シリーズMVP。12年1月に引退し、ブルワーズのフロント入り。15年5月から監督を務め、通算707勝は球団最多。24年からカブス監督。現役時代は183センチ、81キロ。右投げ左打ち。