私の担当チーム、花咲徳栄(埼玉)が登場。開星(島根)を9-0で破り、3年連続で夏の甲子園初戦突破を果たした。

 担当チームが勝つ、というのはうれしいものである。ただし、原稿量は増える。勝った、勝ったで喜んでばかりはいられない。

 さて誰を書こうか。ヒーローは何と言っても先発し8回を無失点に抑えた綱脇慧投手(3年)だろう。しかし、彼とは今まで1対1で取材したことはなかった。

 それでも、試合前の取材で彼の父啓太さんがCM音楽プロデューサーということを、N記者が聞いてきてくれた。音楽好きなことは知っていたが、父の影響が大きいのだと分かった。試合中にはT記者が花咲徳栄のアルプス席に行って父親の啓太さんを取材してきてくれた。

 少しずつではあるが原稿のイメージが湧いてきた。8回を92球で投げきった。彼の名前は「慧」と書いて「すい」と読む。

 「音楽好きの綱脇慧(すい)投手がスイスイとリズム良く抑えた」。

 よし、決まった!

 試合が終わって綱脇投手を囲み取材。投球数を減らすために「1球で内野ゴロに仕留められる」というツーシームを習得したことなどを話してくれた。

 Kキャップにその旨を報告すると、「60行(720文字)お願いします」とのこと。昼食を食べていないことに気づき、お気に入りの「勝つサンド」(500円)で腹ごしらえ。第3試合を見ながら、一気に書き終えた。

 これで本日のメイン業務は終了。第4試合の試合後取材を手伝って甲子園を出た。阪神電車で梅田に向かい、地下鉄に乗り換えて南森町で下車。友人達の待つ居酒屋さんで一杯やって11時過ぎにホテルへ戻った。

 朝5時に起きて18時間。長い一日が終わった。