7回裏広島2死一、二塁、右前適時打を放つ丸(撮影・江口和貴)
7回裏広島2死一、二塁、右前適時打を放つ丸(撮影・江口和貴)

広島が3連覇を達成した。野球評論家の西本聖氏に優勝の要因などを聞いた。

-3連覇以上はセ・リーグでは巨人以外では初めて

西本氏 3連覇というのは本当に力がないと難しい。広島の一番の良さは投打のバランス。さらには守備力と機動力。この二つにはスランプがなく常に安定した戦いができていた。

-緒方監督の采配について

西本氏 143試合を通しての戦い方がうまい。去年も思ったが先発投手をできるだけ引っ張っているように感じる。交代しても良いタイミングなのに「まだ投げさせるの?」と思った試合もあった。ただ、それも長いシーズンを考えてのことなのだろう。1年間をどう戦うか。先発投手が1イニングでも長く投げてくれれば中継ぎ陣が楽になる。負担が減れば故障や息切れもなくなる。そこが他のチームとは違った。例えばオリックス。若いリリーフ投手に無理させたことでシーズン途中、2軍で調整というケースがあった。良い戦力を持ちながら1年間を通して戦うことができなかったように思う。それと言葉は良くないかもしれないがうまく負けていると感じた。負けゲームを無理して勝ちにいかないことで負担が減る。我慢しながら若手を使う。そうすることで負けゲームの中からでも得るものが多かったように思う。

-MVPは?

西本氏 野村の不調をカバーして15勝を挙げている大瀬良も素晴らしいが、MVPは丸でしょう。打率3割2分4厘、38本塁打、95打点。打撃がひと皮向けたと思う。ただ、一番すごいと思うのは断トツの121四球(26日現在)が示す選球眼の良さ。厳しいボールをしっかりと見極めることができる。投手というのは内角球やボール球、緩急を使って打者のフォームやタイミングを崩そうとするが、丸には通用しない。追い込まれてもボール球に手を出すことがないし、べースぎりぎりまでボールを見極めている。抑えるのは大変だと思う。

-広島の課題は?

西本氏 昨年もCSでDeNAに敗れ日本シリーズに進出できなかったように短期決戦の戦い方だけ。レギュラーに若い選手が多いし、会沢が打てる捕手として定着した。広島の時代は当分続くと思う。

優勝し喜ぶ左から丸、野間、鈴木(撮影・野上伸悟)
優勝し喜ぶ左から丸、野間、鈴木(撮影・野上伸悟)