5月1日の朝…、行きつけの喫茶店でスポーツ新聞を何紙か読み比べる。関西のスポーツ紙、どこも阪神タイガースネタでギュウギュウ。その中で記事の大小はあるが、「6番問題」を取り上げていた。
4月最後のゲームとなった30日のヤクルト戦で、チャンスに回ってきた6番井上は2打席連続三振。反撃に転じるため、岡田彰布は打順をここで組み替え、井上をベンチに下げた。これによってクローズアップされることになった6番問題。ただし、これは今に始まったことではない。少なくとも昨年末から岡田はこの打順をキーだと考えていた。
監督返り咲きが正式に決まった直後、「過去の実績、実力、キャリアから、いい打線が組めると思うよ。ただクリーンアップのあとの6番よ。ここがポイントになるやろな」と語っている。そこから岡田の6番バッター探しは始まっていた。
現役時代、5番を長く打ってきたこともあり、そのあとの6番には強いイメージが沸いていた。強力なクリーンアップとなれば塁に出るケースが非常に多くなる。となれば、クリーンアップをどう返すか。6番が重要なポイントゲッターになれば…の答えに行き着く。当時の6番打者を、岡田はイメージしていた。
あの時は佐野仙好だった。特に1985年、佐野は何度となくチームを救ってきた。打率は3割には届かない。しかし、それを補う勝負強さがあった。勝負強さ=打点。特に当時、制定されていた勝利打点という規定で、佐野はトップだった。
「相手も逃げたからな。バース、カケさん(掛布)、オレが出塁するわけやから、佐野さんに重圧がかかったと思う。でも、それをはね返して、勝利打点をバンバン稼いだわけよ。ああいう6番がいるチームは強いよ」。野球は大きく変化しているが、根本的なところは不変。打線もそうだ。3、4、5番という強いところのあとの6番。流れ的にここに好機が巡ってくるのは、いまも昔も変わらない。だから岡田にとって6番は肝の打順。それをずっと考えてきたわけだ。
前回の監督時。優勝した2005年の6番はシーズン中盤まで外国人選手に任せた。スペンサーがその選手だったが、4番金本、5番今岡が打ちまくったため、目立たなかった。岡田はスペンサーに物足りなさを感じ、そこに桧山を組み込んだ。こうして2005年の6番問題を解決したのだが、今回はどうか。はっきりと6番問題が横たわっている。
開幕からルーキー森下で臨んだが、やはり経験不足、実力不足を露呈。岡田は我慢しかけたが、やはり変更を決断する。その後釜が井上であった。2軍で成長してきて、満を持しての1軍、そして6番…。その期待に応えるように先の巨人戦、そしてヤクルト戦でも、いいところで打ったが、直近の2試合、弱さを暴露した。力のあるストレートに負けている。スピードボールを打ち返せず、まさに力負けを続け、先にも書いたが2打席で交代。これによって6番問題は再び、岡田の頭を支配することになった。
さあ、今後、この打順に誰をはめるのか。井上を我慢して起用するのか。岡田は我慢強い方ではあるが、「お試し期間はそうはない」とも語っている。これはまだまだ井上には荷が重い、を意味しているのか。となれば2軍で調整し、再び上昇しているとされる森下を充てるか。この2択? ここに割ってくるとみられるのが新外国人のミエセスか。
いずれにしても守るのは外野で、佐藤輝のあとだけに、右打者が前提となる。これも岡田の考え方ひとつで、勝負強さがあれば、左の外野手だって、岡田はこだわりなく使ってくる。例えばサプライズで高山の抜てきとか…。いずれにしてもタイガースの6番は5月戦線最大のポイントになるのは間違いない。
ようやく佐藤輝に復調の兆しがあり、1番から5番までが機能してきた。これを最大限に生かすのも6番打者の役割。貯金3で新しい月に向かう阪神。「出でよ令和の佐野仙好!」。岡田の胸の内が見える。(敬称略)【内匠宏幸】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「岡田の野球よ」)




