12月11日、大阪市内の豪華ホテルで行われた新入団発表。そこで久しぶりに岡田彰布に会った。日本一になって以降、多忙を極める。「ホンマ、忙しいわ」と言いつつ、予想より元気そうで何より。「それでもな、やっぱり痩せてたわ」という。

1年前のドラフト会議で着たスーツ。スラックスをはいて、びっくりした。「ブカブカよ。ずれてくるくらいブカブカやった」と笑っていた。それもオフになって、体調も戻り、いよいよハワイへの優勝旅行…。

その前に行われた新入団選手のお披露目。ここからはとれとれの岡田話を紹介するとしよう。ドラフト指名、育成指名の若者を見て「みんな、ユニホームを着たら、大きく見えた。これが大事なんよ。そんな体つきを見て、楽しみがまた膨らんだわ」。ドラフト1位の下村、2位の椎葉。「そら即戦力よ」。椎葉については、こんな裏話を明かした。OBの狩野から得た情報だった。捕手だった狩野が実際に椎葉の球を受けた。それを知って、岡田は狩野に聞いた。「軽くいきます…といって投げたストレートがえげつなかったらしいわ。かなりスピードが出る。そら楽しみになるやろ」。期待感が膨らむ。

ただ、熱を持って語りだしたのはドラフト選手のことではなかった。「来年、ホンマに1軍で出てくると確信している投手がおる。誰? そんなん、門別やんか。これはすごいで」と言葉は止まらない。ドラフト2位で入団して1年目を終えたばかりのサウスポー。そこまで監督が言うなら、比較したくなるのが、かつての大エース、井川だ。

セ・リーグ最後の20勝投手。井川はタフさも備えたエースだった。2003年、星野体制下、投げまくって20勝をマーク。タイトルを総なめした。岡田も井川を入団時からよく知っている。その頃の井川と比べ、門別はどう? と聞くときっぱり「そら門別が上よ」と言い切った。「とにかく球質がいい。スピードがあるし、あとは変化球。井川はチェンジアップがよかったからな」。これから先、門別には無限の可能性がある…と褒めちぎる。

ここまで評価する岡田をあまり見たことがない。もちろん来年、2024年シーズンは1軍で起用する気が満々。それも中継ぎからとかではなく、あくまで先発一本。もちろんキャンプ、オープン戦の進み具合にもよるが、順調なら「ちゅうちょなく先発で使う」とまで口にした。

そんな楽しみな素材がゴロゴロ、タイガースにはいる。そこにまた今回のドラフト選手が加わる。「いまのスタッフに割って入ること自体、大変やと思うけど、チームとしては、厚みのある層ができるわけやんか。それなら特別な補強はなくてもええ」。FA補強はなし。現役ドラフトでオリックス漆原を獲得しただけ。外国人投手を1人、補強したくらいで阪神のオフは完了。「これでいけるよ。これから先、まだまだ強くなる。若いチームがさらに若返ってな」。その象徴になるのが、岡田イチ推し、門別ということになる。

「いくよ。そらいくで。門別が先発でいけるとなれば、ためらいなく、オレはいくよ」。実力主義を打ち出す監督に迷いはない。【内匠宏幸】(敬称略)

阪神門別啓人(2023年11月19日撮影)
阪神門別啓人(2023年11月19日撮影)