天理の中村良二監督(49)は広陵の中村奨成捕手(3年)について聞かれると、穏やかな表情で口を開いた。「すごい選手になりそうな予感がありますね」。

 7日から行われている愛媛国体の高校野球競技。8日の2回戦で天理は広陵と対戦し、1-10で7回コールド負けを喫した。

 試合後、中村監督は今秋ドラフトの目玉である中村捕手をほめたたえた。「すごい選手になりそうな予感がありますね。記録を残す方は『(ボールが)甘いところに来た』とか言うけど、記録を残すために甘いところに投げさせていると思います」。そう語る表情も口調も、自分のチームの選手について語るように優しかった。

 今夏の甲子園の準決勝でも天理は広陵に9-12で敗れている。中村には大会5本目と、史上最多となる6本目の本塁打を許した。間近で見ていた中村監督は、その試合後も中村捕手を絶賛していた。

 「同じ中村ですけど(広陵の)中村君は本当にすごい。清原さんを超えたんでしょ!? 時代の流れですね」

 「攻撃も中村君、守備力も中村君、何かことがあれば中村君」

 近鉄、阪神でプロ野球選手としてプレーしてきた中村監督。さまざまな選手を見てきたからこそ、ほめる言葉も説得力がある。

 「雰囲気がありますよね。(夏の県大会で)準決勝、決勝とホームラン打って甲子園に乗り込んで。持ってるんじゃないですかね。彼の運命というか、持っている人生そのもの。人生、運も味方につけないといけない。今後すごく応援したいですね。ほんまに上に行った時に、チームの中心選手になれるものを持ってそう」

 どんな選手に成長するのか-。さまざまなところで、中村奨成の人気も注目度も上がっている。【磯綾乃】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)