東海大相模(神奈川)の森下翔太外野手(3年)が、20日の春季高校野球関東大会の花咲徳栄(埼玉)戦で、劇的なサヨナラ本塁打を放った。9回2死、1発が求められる場面で低めのスライダーを左中間席にたたき込んだ勝負強さと技術の高さも驚かせたが、ヤクルトの橿渕スカウトグループデスクは、プレー以外の面にも着眼し、高評価を与えた。

 「森下君はいつも全力プレーで、チームに好影響を与えられる。少し調子を落としていたようですが、野球に対する姿勢は変わらないですし、素晴らしいです。自分の結果が良くなくても、同じようにプレーできるのは活躍する上で大事な要素。だから、最後に大事な場面で1本出たんじゃないでしょうか」

 人間である以上、心の浮き沈みはあるだろうが、一流選手の共通点の1つは切り替えの早さと1プレーへの意識の高さだった。DeNAラミレス監督の現役時代の口癖は「長いシーズン、いい時もあれば、悪い時もあります」だったし、巨人内海哲也投手(36)は味方がミスした時は笑顔で声を掛け、無失点で帳消しにする。

 センバツ前に行われた3月の練習試合で放った高校通算46号以来、約2カ月間ノーアーチだった。それでも、森下は「心が折れたら、技術も向上しません。どんどん上を見れば成長できますし、ひた向きに取り組んだ」と殊勝に話した。プロのスカウトも絶賛した真摯(しんし)な姿勢は、野球の神様をも振り向かせた。【久保賢吾】