市川対銚子商 銚子商・敗戦後、球場の外で泣き崩れる選手たちと、声をかける父兄(撮影・保坂淑子)
市川対銚子商 銚子商・敗戦後、球場の外で泣き崩れる選手たちと、声をかける父兄(撮影・保坂淑子)

Aシードの古豪・銚子商が市川に敗れた。

1、2回に投手陣の四球に野手の失策が絡み、計5失点。4回に同点に追いつくも、6回に勝ち越しを許し、9回にも1点を失った。黒潮打線は5回から登板した市川・徳竹智大外野手(3年)の緩急をつけた投球を打ち崩せなかった。

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試合後、沢田洋一監督(38)は泣き崩れる選手たちを前に最後のミーティングを行い、優しく、こう語りかけた。

沢田監督 残念ながら、負けてしまいました。3年生はこれで終わるんだけど、よくやったね。Aシードでプレッシャーもあったな。今まで、いろんな思いをしてきたでしょう。でも、これが結果なんだよ。もう戻れないんだ。今は悔しいよな。でもさ、ここから先はもっとたくさんあるんだぞ。ここから始まろう。

野球を続ける人もいる。別の道に進む人だっているでしょう? 負けてしまったことは悔しいと思うけど、君たちがやってきたことは、胸を張っていいことなんだよ。いろんなことを我慢して、ここまで乗り切ってきたんだ。でも、もう1歩届かなかった。それが何かを、これからの人生で探さないといけないね。

こういう経験をして、いい大人になろうよ。グラウンドで我慢して、ずっと目標に向かって取り組んできたんだから。大丈夫。これから何をやったって。胸を張って歩いていけるよ。

これからもね、いろいろある。これで終わりじゃないよ。な、泣くことないだろ?

昨年秋、新チームが始まった頃から考えると、よくやってくれました。本当に大きく成長してくれました。その姿を2年生、1年生に見せることができたことで、これからの銚子商業はさらに発展すると思う。「君たち(3年生)がいたから、甲子園に行けた」と。そう言えるように、2年生、1年生、頑張りましょう。

前向いて進んでいこうよ。君たちが一生懸命頑張っていたから、これだけの人たちが協力して支えてくれて応援してくれたんだよ。これからもそうだ。人間、一生懸命やっていれば、みんなが応援してくれる、協力してくれるから。安心して自分の進むべき道を歩いていってください。

今日は悔しいけど、これは結果として受け止めなければいけない。でも、本当によく頑張ってくれました。甲子園にはたどりつかなかったけど、銚子商業の名前を残してくれたと思います。胸を張っていきましょう。みんな、お疲れさまでした。

市川対銚子商 5回戦でノーシードの市川に敗戦後、球場の外で最後のミーティングをする銚子商業(撮影・保坂淑子)
市川対銚子商 5回戦でノーシードの市川に敗戦後、球場の外で最後のミーティングをする銚子商業(撮影・保坂淑子)

古豪復活をかけ、冬は1日1000本の振り込み。春からは守備を鍛えるために、毎日ノックを受け続け、泥だらけになってボールを追い続けた。6月は毎週末学校に泊まり込み、毎日、10人以上のOBがグラウンドを訪れ指導をしてくれた。すべて甲子園出場のためだ。

主将の那須翔斗捕手(3年)は「自信がつくまで、時間をかけて徹底的にやってきた。だから、必ず勝てる。そう最後まで声をかけて戦ったんですが…」と唇をかんだ。

夏は初戦敗退が続き、沢田監督が就任してから3年がたった。Aシードを獲得し、戦うまでに成長した。戦いは始まったばかり。銚子商業、そして黒潮打線の復活まで-。たくさんのOB、そしてファンは待ち望んでいるはず。そう、今こそ、前を向いて歩くときだ。【保坂淑子】

市川対銚子商 球場の外で父兄、応援団に挨拶をする銚子商業の選手たち(撮影・保坂淑子)
市川対銚子商 球場の外で父兄、応援団に挨拶をする銚子商業の選手たち(撮影・保坂淑子)