女子部員がリーグ戦出場を目指す。

神奈川大学野球リーグの防衛大硬式野球部には、加盟12校で唯一の女子部員が所属している。大野瑞希内野手(3年)と田中千尋内野手(1年)だ。「2人でリーグ戦に出場したい」と意気込みを語った。

田中は父・隆司さん(50)が同大出身。合格したときに「大変だから覚悟を持って行け」と言われた。「抵抗はめっちゃあったけど、他のところでは出来ない経験がしたい」と進学を決意した。もう一つの理由は恩返しだ。元々ソフトボールをしていた田中は「現役の時にソフトで推薦をもらっていたけど断って浪人したから、恩返ししたかった」と当時の気持ちを振りかえった。

中学時代、福岡レッドドリームスでは日本一を経験。福岡中央高では県大会で2位と上位の成績を収めてきた。大学は運動部への所属が必須。ソフトボール部がないため他のスポーツを始めるつもりだったが2学年上の大野からの誘いがあった。仮入部で「『野球してる田中、楽しそうだったよ』と友達に言われて、やっぱり野球が好きと気づいた」と入部した。

しかし、そううまくはいかなかった。今までやってきたソフトボールとは何もかもが違った。「グラウンドの広さも違うし、力負けもして差を感じた。高校ではキャプテンとかやって今まで主力だった分、試合に出られないことにうずうずした」。それでも同期の優しさが支えになった。「日頃から協力が大事と教わっているから男子たちが助けてくれる」と感謝した。

将来の夢は海上自衛隊だが1年生の今は陸、海、空すべてのジャンルの訓練をこなす。校内は東京ドーム14個分と広い敷地でも自転車移動は禁止になっている。部活動は午後6時半に練習が終わり、同7時15分までに食事、入浴を済ませなければならない。「訓練と部活は大変だけど、体力面は慣れているから大丈夫」と自信をのぞかせた。

取材後田中は「ありがとうございました」と急いで走って去って行った。【星夏穂】

ノックを受ける防衛大・大野(撮影・星夏穂)
ノックを受ける防衛大・大野(撮影・星夏穂)
キャッチボールをする防衛大・田中(撮影・星夏穂)
キャッチボールをする防衛大・田中(撮影・星夏穂)