甲子園期間中に流れる京都銀行のCMばりに「長~~~~~い」1日だった。24年の甲子園開幕日の8月7日。午前8時半からの開会式に始まり、第3試合が終わったのは午後9時36分。選手、関係者ら大半の人が疲弊した表情に見えた。

開会式時点でも暑かった。気温は30度近く。じっとしていても汗が噴き出した。第1試合が終わると観客が一斉に退場した。暑さ回避が目的で史上初めて「朝夕2部制」が導入されたためだ。選手の安全を守ることが最優先ながら「お客さまの安全と健康を考えることも主催者の役割」と観客も完全入れ替え制をとった。真夏の日差しが照りつける甲子園は空っぽだった。観客は一斉に近隣の商業施設などに移動した。「あっつー」「早く入ろう」と汗を拭いながら涼を求めた。

二部制実施のため、観客がいなくなった甲子園球場のスタンド(撮影・藤尾明華)
二部制実施のため、観客がいなくなった甲子園球場のスタンド(撮影・藤尾明華)

甲子園駅と甲子園の間にある「コロワ甲子園」にも詰めかけた。食事を買おうと館内に入ると、平日の日中にもかかわらずいつもよりにぎわいがあるなと感じた。従業員に尋ねると「高校野球シーズンになると多いですが、いつもより多いですね。特に2部制が始まって、試合が終わってから一斉に館内に足を運んでいただいています。土日と変わらないくらいの人の多さですね」と教えてくれた。カフェやフードコートではグッズショップで買った高校野球土産を手に昼食をとる人の姿が多かった。

外野席から道をはさんだ向かい側にある「ららぽーと甲子園」でも同様の光景が見られた。館内に入ると涼しく、一気に汗が引いた。館内空調は20度台半ばに設定されているそうだ。同時刻の西宮市内の気温は35度。甲子園で直射日光を浴びた状況と室内で空調がきいた状況の体感気温は20度ほども温度差がある。まさに天国。“観客のクーリングタイム”のようだった。

7日、試合終了が21時30分を過ぎていた智弁学園対岐阜城北
7日、試合終了が21時30分を過ぎていた智弁学園対岐阜城北

第3試合の智弁学園-岐阜城北を取材。開会式から13時間後の決着。勝った智弁学園の知花琉綺亜主将(3年)も「とにかく体が疲れた。勝った喜びもあるんですけど、やっと終わったって…」とポツリ。開会式後に宿舎で体を休めたが、やはり過酷な1日だったようだ。

「長勝った」という智弁学園の原稿を書き終えて球場を出ると、時計は午後11時半をさしていた。この日、記者の甲子園滞在時間は15時間30分。1日の3分の2を甲子園で過ごしたことになる。球場通路でチケットを確認するスタッフに聞くと同じく丸1日だそう。3日間の2部制も9日で終了。2部制に関わった選手や学校関係者をはじめ、大会関係者のみなさま、お疲れさまでした。【林亮佑】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)