今夏、レジェンドの信念を目の当たりにした。
8月末、バンテリンドームでイチロー氏(51=マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクター)が率いる草野球チーム「KOBE CHIBEN」の高校野球女子野球選抜との交流試合を取材した。
試合後、報道各社が待つインタビュールームに軽やかな身のこなしで本人が登場した。ユニホームの似合う、引き締まった体格は幼き日の記憶と合致した。
5年連続開催の同イベントはイチロー氏が全5試合とも完投。完封した年もあるが、今年は試合を迎えるにあたり、先発回避も脳裏によぎる状態にも陥ったというが、苦労を感じさせない111球14奪三振で、女子打線を1安打完封勝利を挙げた。打っては右前打を放ち、女子選手に投打で真っ向勝負を展開した。
プロアマともにDH制導入の動きが広がる日本球界。「僕は、マウンドから絶対に降りられない」とイチロー氏。この交流試合では、これまで通り投手も打席に立つルールを継続。未来ある選手たちと接するレジェンドは、相手の視点で俯瞰しながら、自身の揺るぎないポリシーを口にした。「彼女たちは、僕との対戦がモチベーションとして大きい。僕は、マウンドから絶対に降りられない思いが強い。僕が全部やると決めているし、(その年の)女子野球(のレベル)がわかる」。
続けて、報道陣にイベントを終えた心境をぶつけた。「思いのつまった2時間半。一生続けたいです! 高校生は、この試合があることを、大きなモチベーションにしてくれている」。
約25分の質疑に熱く濃密に応じた。野球を届ける伝え手の熱意だけでなく、地元中日の話題や、日米球界の変遷にも言及した白熱ぶりだった。
2度とない取材機会。実は、過去に筆者が執筆した取材内容をYouTube越しに言及されたことが忘れられない。23年夏の甲子園期間中、「丸刈りの高校球児は3割」や「慶応唯一の丸刈り部員・酒井一玖内野手」に関する話題を掲載。同年冬、イチロー氏に「パワプロ・プロスピ公式チャンネル」で関連する話題を語られた。アンテナを張り巡らす同氏の視野の広さに胸を打たれた。
競技人口拡大を目指す女子野球界に携わり続けているイチロー氏。信念や情熱がレジェンドにしかできない方法で広がる様子を、追跡していきたい。【アマチュア野球担当 中島麗】






