負けたけれど面白い試合だった。9回の攻防は信じられないような展開を見せ、やはりプロ選手は“超人”だという気持ちになった。これで1勝1敗。いよいよ7日が大一番だ。

2試合で目立つのが阪神の代打成功率だ。この日は4度出して成功は5回の上本博紀の中前打だけ。それでもそのまま出場した上本が2打席目も適時打を放つのだから、采配が当たっている。

すさまじかったのは逆転勝利の前日5日だ。5度の代打機会で4度まで成功した。失敗だったのは9回の原口文仁だけ。これで2試合合わせ、代打は9打数5安打、5割を超えている。

「そこは頼もしいですよね。上本を中心によくやっている。監督も使いやすいと思います。みんなしっかりと準備をしてくれているし、どういう展開になったら誰だ、とかそういうのを理解してくれている。集中してくれていますね」

打撃コーチの浜中治は敗戦の悔しさを隠し、そう話した。スタメンはもちろん、代打の成功率は試合そのものの行方に大きくかかってくる。皮肉にもこの日は敵軍の乙坂智がいいところをさらっていったが、阪神も頑張っている。

クライマックス・シリーズの戦いになって代打が的中しているのは集中しているからだ。同時にこの日、熱視線を送っていた桧山進次郎(日刊スポーツ評論家)はこんな見立てをした。

「いまの阪神はシーズン中からいろいろなメンバーが代打で出ている。だから多くの選手がベンチで準備するのに慣れているのもあるんじゃないですかね」

確かに143試合でスタメンで出るレギュラーがいない現状、代打の可能性は誰にでもあり、それがいい面で出ているのではないか、という話だ。

逆に言えば球史上、阪神独特の存在と言ってもいい「代打の神様」がいまはいないとも言える。かつて「神様」だった八木裕からは「阪神の代打の切り札はある意味でスタメン以上に重要」という話を聞いた。

そしてこの短期決戦で「代打の神様」となりつつあるのは上本だろう。頑張ってほしいが、上本でなくても誰でもいい。ここ一番でガツンと打つ男が出てきてほしい。

さあ、7日。今季、横浜スタジアムでのDeNA-阪神戦は阪神の8勝4敗だった。その勝率からいけば。ズバリ、7日は阪神が打ち勝って2勝1敗で勝ち抜けると見た。(敬称略)