巨人対阪神 4回裏巨人無死二塁、ゲレーロに2点本塁打を浴び、ベンチの矢野監督(右から4人目)も厳しい表情(撮影・清水貴仁)
巨人対阪神 4回裏巨人無死二塁、ゲレーロに2点本塁打を浴び、ベンチの矢野監督(右から4人目)も厳しい表情(撮影・清水貴仁)

大阪弁でこういうのを「どんならん」という。まさに完敗だ。巨人が繰り出す投手陣の前に阪神打線は三塁も踏めないまま終わった。巨人はこの日、ゲレーロが2ランを放ったので前日の丸佳浩、岡本和真に続き、クリーンアップ級3選手に本塁打が出た。

対して阪神は本塁打どころか適時打も出ない。前日の2得点は相手ミスと押し出しによるもの。これでは勝てないというか、完全に流れを失っている。

試合前、岡本と少し話した。「きのう(9日)の丸の先制弾は仕方ないとしてキミのがこたえたわ」。第1戦の連続本塁打について虎党として知られる岡本だけに少し“イヤみ”を言いたくなった。すると岡本はこんなことを言う。

「そうですかね。でもボクは前の打者が本塁打したら自分も本塁打を打とうと思って打席に入るんで」。…どういう理由でそうなるのか。「だって流れっていうか、そういうのに乗っていこうと思ってるんで」。涼しい顔で大胆なことを言う巨人の若き主砲だが、やはり流れを重視している。

DeNAとのファースト・ステージで阪神に吹いた風が東京ドームではまったく吹かない。その代わりに? 大型台風19号が接近してきている。この日、巨人はその影響を考慮して12日に予定されるCS第4戦を順延すると発表した。

ドーム球場で、セ・リーグのCSで、となると史上初の“珍事”だという。最近は事前に交通機関の計画運休などが行われることが多いし、観客、関係者の安全を考慮しての中止、順延の決定だ。自然には逆らえないし、仕方がない。

しかし。もしも11日の第3戦で阪神が負けてしまえば敗退が決まり、巨人の日本シリーズ進出が決定する。要するに第4戦は台風どうこうの前に自動的になくなるのだ。その場合、正式にはどういう扱いになるのか現時点で不明だが、将来、振り返って「19年のGT戦で史上初の中止、順延」とは言われないことになるかもしれない。

それがどうした、と言えばそれまでだが何となく面白くない。プロ野球史に残る「史上初の中止、順延」を経験し、再度戦うことに意味がある気がする。

いずれにしても戦いは大詰めだ。強調したいのは阪神は簡単に負けてはいけない、ということだ。2位で涙をのんだDeNAのためにも、僅差で3位から滑り置いた広島のためにも。(敬称略)

巨人対阪神 試合前、円陣を組む阪神の選手たち(撮影・垰建太)
巨人対阪神 試合前、円陣を組む阪神の選手たち(撮影・垰建太)