ソフトバンク和田毅の好投を見ながら、うなるしかなかった。虎番キャップとして取材した03年の日本シリーズ。あの激闘でも和田は先発で投げていた。あれから18年。ベテラン左腕が平然と阪神打線を切っていくのを見て、敵味方を超えて賛辞を贈りたいような気持ちになった。

常勝軍団を相手に1勝1敗で迎えた大事な3戦目は、ガンケルの登板回避というアクシデントで始まった。いやな予感と同時に、若い西純矢でうまく結果が出れば…という淡い期待を持ったが、やはり甘くない。

前はこんな試合ばっかりやったなあ~。最後に“ガス抜き”で本塁打とか出てなあ~。そんな風に懐かしく思わせるような展開での完敗となった。

率直に言って、いまの阪神は苦しい。勝利のポイントだったブルペンが岩崎優の離脱などで崩れ、当初の形から変わってきている。変わらないのが守備のミスだ。この日も大山悠輔、中野拓夢に失策が出て、そのまま失点につながった。

セ・リーグの失策ワースト選手は中野で「10」。次が大山の「7」だ。なかなかすさまじい三遊間のような気もする。それでも首位を走っている理由はなんだろうか。

はっきり書けば「他が強くないから」だ。この週末の3連戦、2位巨人はパ・リーグで最下位に苦しむ日本ハムに負け越した。ソフトバンクに連敗した阪神とのゲーム差は「3・5」のままだ。巨人に3ゲーム差以内に迫られたのは、5月11日が最後。5ゲーム以上離れることもないのだが、接近もしてこない。

「ボクたちが負けているときに2位のチームも負けていたことですかね。そういうのはありますよね」。

これはイチロー擁するオリックスが連覇した96年、優勝できた理由をイチローに聞いたときの答えだ。当たり前のことだが相手があってのペナントレース。相対的な要因は、常に優勝のカギになってくる。

もちろん「短期決戦」は別だ。特に日本シリーズは他の要素の入る余地のない相手との戦いである。その決戦に16年ぶりに挑戦することができるかどうか。交流戦はその正念場だ。

「オセロ」の終了は、連敗の形で終わった。こうなれば妙な呪縛は忘れ、あと6試合を戦い切ることだ。そこでなるべく5割に近い成績を残して、セ・リーグの戦いに戻っていくことが何より重要だと思う。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対ソフトバンク 力投するソフトバンク先発和田(撮影・清水貴仁)
阪神対ソフトバンク 力投するソフトバンク先発和田(撮影・清水貴仁)