ウエスタン・リーグ優勝争いを繰り広げる阪神2軍監督・平田勝男。個人的には「監督専属広報」として接した思い出が強い。星野仙一の下で優勝した03年。その立場で文字通り、闘将の手足となって奮闘した。

「バカヤロー! そんなこと言えるかー!」。我々、虎番記者キャップが星野に関して何か要望すると、怒鳴りながら応えてくれることも。明大の先輩後輩というだけでなく、星野との信頼関係が厚かった。

その平田がベタ褒めしている選手の存在が日刊スポーツの記事で目についた。「勝負強い。なんとかコトを起こしてくれそうな感じはあるもんね。評価していいんじゃない? 人間的にもね、名前のごとしやな」。

ドラフト4位ルーキー捕手の栄枝裕貴だ。藤浪晋太郎が登録抹消後、好投した前日16日の同リーグ・ソフトバンク戦(甲子園)。そこでバッテリーを組んで、勝利。首位に再浮上した後だ。このゲームを含め、スタメンマスクの試合では21勝3敗4分けという勝ちっぷり。18連勝をマークするなど好調チームの原動力といえるかもしれない。

「人間的にも」と平田が評価するのは2軍落ちしてきたドラフト1位ルーキー佐藤輝明への対応だという。入団以来、ずっと1軍だった佐藤輝だけにファームでは“だんどり”の分からないことが多い。同学年のよしみで当然といえばそれまでだが、しっかりレクチャーしているらしい。

そう聞けば思わず反応してしまう。藤浪、佐藤輝が同日に抹消されたときに書いたが、なんだかんだ言ってもこの2人は阪神の看板選手だと思うし、優勝を争うギリギリの局面を迎えた現時点でファームにいるのは、なんとも口惜しい。

そこで「藤浪を好リード」「佐藤輝をリラックスさせている」…。そう聞けば期待したくなるではないか。もちろん栄枝自身も戦力となる可能性はある。キャンプから期待されていたが3月に右肋骨(ろっこつ)を疲労骨折し、出遅れた。それでも現在、同リーグで打率2割6分6厘。17打点もマークしている。

「サカエダなんて名前も枝葉が今伸びているところや」。だじゃれが好きな平田はそうも言って持ち上げていたようだ。首位にいながらもなんとなく閉塞(へいそく)感を感じる現在。いっちょ、看板2人とともに1軍初登録して新風を吹かせてみるか。勝手にそう思ってしまう。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)