伝説的な作曲家・すぎやまこういち氏が亡くなっていたというニュースがこの日、流れた。取材させてもらったのは95年。野球担当だったが日刊スポーツ全本社を挙げての戦後50周年企画連載に参加。そこでグループサウンズ「ザ・タイガース」の連載を担当し、同グループの名付け親になるなど縁の深かった関係で話を聞いた。

沢田研二らメンバーと最初に会ったとき「関西から来た」と聞いたすぎやま氏は「じゃ、タイガースだね」と速攻でグループ名を決めたという。「元気もよかったんでね」と話してくれた。すでに伝説になっていたすぎやま氏だが物腰の柔らかさを覚えている。

これは10年ほど前のこと。ヤクルト戦の遠征で試合前、神宮球場入り口付近を歩いていると前から有名人が1人で歩いてきた。「ジュリーやん」…。「失礼ですが沢田さんですよね」と思わず声を掛けた。こちらが首から提げる記者証をチラリ見て「お。日刊さんですか。虎番?」と笑う。

「結構、阪神、好きなんでね。ボク。ときどきフラッと神宮に来てるんですよ」。柔和な関西弁で話した。こちらからすれば大スター。気さくな物言いに「ホンマですか」と恐縮した。

関西ならタイガース。関西人全員が虎党ではないがファンは多く、熱い。なにより日本中で知られる代名詞が存在するのはいいことだ。過去を振り返れば栄光の歴史がある球団とは言えない。でも多くの人に愛されている。それが阪神だ。

逆転優勝に望みを託したDeNA最終戦は痛い逆転負けを喫した。及川雅貴が8回、ソトに痛恨の逆転2ラン被弾。岩崎優はもちろん、スアレスも連投に次ぐ連投はできない。アルカンタラに2イニングを任せ、及川に期待。それが証拠に指揮官・矢野燿大自らマウンドに行ったが抑えられなかった。

振り返れば4回、守備の乱れで2失点したことも響いた。伊藤将司の投ゴロ失策にしても、三ゴロを処理できなかった大山悠輔(記録は安打)にしても、きっちりやれていれば…と思ってしまう。

しかし、それもこれも含めて現在の実力だ。このままの力で“直接対決”に挑むしかない。前日、ヤクルト中村悠平は「阪神をやっつける」と言った。それでこそプロ。阪神も全身全霊でヤクルトを倒すだけだ。それしかない。(一部敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)