「ここで切り替わるんです。この2月で。昨年がどういう成績、結果に終わっていてもね。このキャンプから、また新たな1年が始まるんです」。

そんな話をしたのは広島3連覇監督の緒方孝市(日刊スポーツ評論家)だった。

確かにそう思う。プロ野球は1年ごとが勝負。3連覇した男の言葉だから重みがある。昨季良かったからといって今年もそうだとは限らない。その反対もしかり。勝ったチームが同じ結果になるとは、当たり前だが、限らない。その切り替えがキャンプ・インだ。

ファンはもちろん、選手も心弾む時期。しかしコロナ禍で既に3度目のキャンプだ。特に今回は次々と感染者が発表され、落ち着かない。当然のように活動制限が出され、キャンプ中の大きな楽しみである「練習後にみんなで外食…」も不可能。選手、関係者はもちろん、報道陣も同じだ。

「それでもやっぱり楽しみですよ。どれだけワクワクさせてくれる選手が出てきて、それを読者に伝えられるか。いいキャンプを過ごしてもらって秋につなげたいですね」

この日、沖縄入りした虎番キャップ桝井聡は前向きである。番記者は、仕事とはいえ、自分も戦っている気分になるもの。期待を持ち、新たな日々に向かっている。そんな桝井を横目に“やや斜め”に見ている自分に気づいた。

ドラフト2位の鈴木勇斗、3位の桐敷拓馬と新加入選手のキャンプ参加組はいる。それでも大物ルーキー佐藤輝明がいた昨年と比べれば注目度では少々苦しいのではないか。

新しい外国人選手もまだ合流できていない。なんだかんだ言って注目されるのは新戦力だ。その部分を見れば「キャンプの目玉は何だろう」と思ってしまう。そんな話をするとサブキャップ石橋隆雄が「いえいえ。見どころはたくさんありますよ」と言った。

佐藤輝と大山悠輔の4番争い。正捕手争い。遊撃の定位置は誰が奪う。「ポスト・スアレス」はどうなるのか。そして開幕投手は誰の手に…。確かにいろいろとある。もちろんすべてシーズンに入ってからの話だが、そこに至る経緯をキャンプから吟味していくのが虎党の“通な楽しみ”なのかもしれない。

さあ、どんな話題、注目点が出てくるか。今年も日刊スポーツ虎番記者のキャンプ報道に注目していただきたい。(敬称略)

合同自主トレで三塁守備練習を一緒に行った佐藤輝(左)と大山(2022年1月30日撮影)
合同自主トレで三塁守備練習を一緒に行った佐藤輝(左)と大山(2022年1月30日撮影)